最終更新日:2024.12.12
「睡眠不足だと太りやすくなる」。
そんな話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
また、寝不足が続くと食欲が増して、唐揚げやラーメン、ハンバーガー、スナック菓子など脂っこくて高カロリーなものを食べ過ぎてしまうことがありませんか?
質問サイトでも、睡眠不足と肥満の関係に関する疑問が数多く寄せられています。
「睡眠不足は太りやすい!」って、友達に言われたのですが本当ですか?
※Yahoo!知恵袋より一部引用
私自身も、12月は忙しく眠れない日が続き少し太ったような気がしたので本当なのか知りたいです。
ウワサもしくは都市伝説? 寝不足の人は太るって本当ですか???
※Yahoo!知恵袋より一部引用
十分に睡眠を取らないとダイエットには良くないって聞いたことあるんですが、なんだか腑に落ちません…。寝不足だとカロリー使うから、痩せそうな気がするんですけど。
今回は睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら、睡眠不足と肥満の関係についてお伝えしたいと思います。
ダイエットにも役立つ情報ですので、体重が気になっている人は参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
睡眠不足になると、本当に太るのでしょうか?
そんな疑問の答えとなりそうな調査結果をご紹介します。
アメリカのコロンビア大学の研究チームが、約1万8000人を対象に調査を実施しました。
平均睡眠時間が4時間以下の人は7時間の人に比べて73%、5時間の人は50%、6時間の人は23%肥満になる確率が高くなることが分かりました。
睡眠不足によって太るのは、大人だけではありません。
子どもも、睡眠不足で肥満傾向になることが明らかになっています。
小学4年生を対象に、睡眠時間と肥満の関係性を調査しました。
肥満でない子どものグループのうち睡眠時間が9時間未満の子が28.0%だったのに対して、肥満の子どものグループでは34.9%が9時間未満しか睡眠をとっていませんでした(※)。
米国睡眠医学会が推奨する6歳~12歳の睡眠時間は9~12時間であるため、9時間未満しか眠ってない子どもは睡眠不足の状態であると言えるでしょう。
これらの例を見ても、睡眠時間が短いことと太ることには深い関係性があることがうかがえます。
次は、寝不足で太りやすくなるメカニズムについて解説します。
睡眠不足が続くと肥満しやすくなるのには、理由があります。
寝不足で太る理由を知ることが、ダイエットを成功させる第一歩かもしれません。
食欲に関連するホルモンには、食欲抑制作用がある「レプチン」と、食欲増加作用がある「グレリン」があります。
睡眠時間が不足するとレプチンの分泌量は減少し、逆にグレリンの分泌量は多くなります。
すると食欲が増してエネルギー摂取量が増加し、太りやすくなるのです。
睡眠不足時の食欲への作用 | 睡眠不足時の分泌量の変化 | |
---|---|---|
レプチン | 抑制 | 減少 |
グレリン | 増進 | 増加 |
しかも、睡眠不足によってグレリンの分泌量が増加した場合、高脂質・高カロリーな食べ物への欲求が高まると言われています。
それを証明するかのような調査結果をご紹介します。
アメリカで35~74歳の女性約2万8000人を対象に調査を実施しました。
睡眠時間が6時間未満の短時間睡眠、及び10時間以上の長時間睡眠の人は、高脂肪の食事やお菓子の摂取量が多いことが明らかになりました(※)。
睡眠不足になると、副腎皮質ホルモン「コルチゾール」も過剰に分泌されるようになります。
コルチゾールは「抗ストレスホルモン」とも呼ばれ、ストレスを感じた際に分泌されてストレスから身体を守ったり、脂肪を分解したり、炎症を抑制するなどの重要な役割を果たしています。
しかし、コルチゾールが過剰分泌されると、食欲が異様に増加したり、肩甲骨回りや鎖骨上部などに脂肪がつきやすくなったり、皮膚の色素沈着などの症状を引き起こす「クッシング症候群」にかかる可能性が高くなります。
また、コルチゾールの過剰分泌は、成長ホルモンの分泌低下を引き起こす原因にも。
成長ホルモンの分泌量が減ると、脂肪の分解能力が低下して体脂肪をため込みやすくなることが分かっています(※1)。
睡眠不足の状態が続くと腸内環境が悪化し、肥満しやすくなることが分かっています。
近年、体脂肪の蓄積予防や代謝の向上、便秘解消など太りにくい体づくりをサポートする効果があるとして、注目を集めているのが「短鎖脂肪酸」です。
短鎖脂肪酸の作用
※1:原博. "プレバイオティクスから大腸で産生される短鎖脂肪酸の生理効果." 腸内細菌学雑誌 16.1 (2002): 35-42.
※2:木村郁夫, 畑野泰子, and 長谷川沙恵. "食事由来腸内細菌代謝産物, 短鎖脂肪酸と宿主代謝制御." 脂質栄養学 24.1 (2015): 33-40.
このように、短鎖脂肪酸はダイエットには欠かせない成分です。
しかし、睡眠不足になると腸内細菌叢が破綻し、短鎖脂肪酸が減少することが北海道大学大学院先端生命科学研究院の中村公則教授らのグループによって解明されました(※2)。
寝不足になると太りやすくなるのは、以上のような理由が関係しているといえるでしょう。
※1:柳瀬敏彦, 野見山崇, and 田邉真紀人. "1. 内分泌疾患に続発する肥満症." 日本内科学会雑誌 104.4 (2015): 690-696.
※2:中村公則, 菊池摩仁, and 綾部時芳. "抗菌ペプチド α ディフェンシンによる腸内細菌叢の制御." 腸内細菌学雑誌 33.3 (2019): 129-135.
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今回は、睡眠不足と肥満の関係についてお伝えしました。
「寝ないと太る」のは気のせいやウワサ話ではなく、ホルモンバランスの乱れや腸内環境の悪化などによって引き起こされる、事実なのです。
「ダイエットが成功しない」「最近、体重が気になる」という人は、睡眠習慣を見直してみませんか。
食事制限や運動とともに睡眠の質を高める生活を送れば、健康的にスッキリとした体を目指せるかもしれません。
また、眠りの質を高める成分が配合された睡眠サポートサプリを活用するのもおすすめです。
質が高い睡眠をとる方法は、下記の記事で詳しくご紹介しています。
今日からでもすぐに始められる方法ばかりですので、ぜひ実践してみてくださいね。
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