最終更新日:2023.11.01
しっかり眠ったつもりでも実際には途中で何度も目が覚めていたり、睡眠の時間は長くても「質」が悪いことで日中に眠気や疲労感を感じたり体調や集中力などにも影響を与えるケースがあります。
睡眠時間や睡眠の質、眠りが深いかを確かめる方法として、スマホアプリやスマートウォッチなどのウェアラブル端末、専用の機器を活用する「スリープテック」が近年注目されています。
スマホのみで使えるアプリも各種リリースされており端末の振動などにより測定を行うことが可能ですが、Apple Watchなどのスマートウォッチ、ウェアラブル端末を活用すると、より正確で細かい測定と記録が可能になります。
今回は睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら、Apple Watchで睡眠の測定、管理ができる仕組みや、おすすめの睡眠アプリについてお伝えします。日々の睡眠の質が気になっている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
iPhoneのみを使用する睡眠アプリは、主に端末の加速度センサーによって人の動きを感知することで寝返りや目が覚めたタイミングを計測しています。
Apple Watchは加速度センサーによって睡眠中の体の動きに加えて「呼吸数」を計測するほか、「心拍数」「血中酸素飽和度」を測定することでより正確で細かい「睡眠の質」の分析が可能です。
手首に着けていると見えないため気づきにくいですが、Apple Watchは裏側にあるセンサーから光や赤外線を発することで心拍数や酸素飽和度を測定しています。
※古い世代のApple WatchやOSによっては、計測できない項目もあります。
光学式心拍センサーによって手首の血流量を測定し、心拍数を計測します。Apple Watchには、心拍数が極端に高くなったり低くなったりした際に通知して知らせる機能も搭載されています。
酸素飽和度とは、血中に取り込まれた酸素が、酸素が赤血球中のヘモグロビンと結合している割合です。
酸素とヘモグロビンが結合することで、血液の色はより鮮やかな赤色になります。 Apple Watchでは6以降のモデルで測定が可能となり、パルスオキシメーターと同様に光によって動脈の色を測定し酸素飽和度を判定しています。Apple Watchの測定は医療用のパルスオキシメーターと同様の結果が得られるという報告があります(※)。
加速度センサーによって、睡眠中の呼吸数の変化を計測します。
Apple Watch用のおすすめの睡眠アプリ「AutoSleep」をご紹介します。
私も実際に数年前から使い続け、睡眠の記録を行っています。その間にApple Watchの進化やアプリのアップデートにより測定できる項目も増えており、ますます便利になりました。
AutoSleepでチェックできるおもな項目や、おすすめの設定などについて解説いたします。iPhone/Apple Watch標準の「睡眠」にはない機能もありますので、ぜひチェックしてみてください。
使い方はとても簡単で、Apple Watchを着けて寝るだけで自動的に測定と記録が行われます。
寝る際に「消灯」またはアラーム画面の「就寝する」をタップすることで、ベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間を記録することも可能です。
「時計」の画面には睡眠を評価するおもな4つの項目のリングが表示され、それぞれに設定したゴールに対しての達成度が分かるようになっています。 設定したゴールを達成するとリングが完成します。
各項目の詳細をタップすると、日々の推移をグラフで表示することも可能です。
iPhoneのウィジェットに設定しておくと、朝起きたときにすぐにチェックできるので便利です。
就寝中に目が覚めた時間帯をのぞいた、実際に睡眠していた時間の合計です。 設定した睡眠時間のゴールに対し、どれぐらい眠れたかを表します。ゴールを達成するとリングが完成します。
どれくらい寝たか、寝られなかったかと、睡眠時の心拍数から判断したものです。全体の睡眠時間の70%~80%が最適とされています。
疲労が最も回復されるタイミングで、心拍数が下がり、ほとんど動かなくなるまで筋肉がリラックスした状態です。成人において一晩に1.5~1.8時間必要とされています。
睡眠中の平均心拍数を計測したものです。心拍数は日中の安静時と比べ、睡眠中に10%以上下がることが望ましいとされています。
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目標の設定
設定の切り替えで表示できる項目
「睡眠セクション」では、その日の睡眠中の各項目をグラフで表示できます。時間帯をタップすると詳細な数値を表示できます。
左側の日は2回、右側の日は1回、それぞれ就寝中に目が覚めていることが分かります。
その他にも睡眠の質の目安となる項目のチェックが可能で、1日の細かい数値とグラフによる日々の推移をそれぞれ確認できます。
起床時の心拍変動と心拍数から精神面と肉体面の状況を分析し、目覚めのよさと日中の体調の目安とした数値です。
心拍変動は心拍の時間間隔が長くなったり短くなったりと変動することを指し、「心拍揺らぎ」とも呼ばれます。 心拍変動は交感神経が優位な時は小さくなり、副交感神経が優位な時に大きくなります。 つまり、心拍変動が大きなタイミングでは副交感神経が優位になり、リラックスできているということになります。
日中と比較した心拍数の低下と、睡眠中の心拍変動によって睡眠の質を「睡眠燃料」として評価したものです。
睡眠中の酸素飽和度を記録したものです。日中の酸素飽和度は健康な場合96%~99%、睡眠中は健康な成人の場合95%から97%、60歳以上では93~97%となります。
睡眠中の1分間当たり呼吸数の記録です。健康な成人の場合、睡眠中の呼吸数は1分間に12~20回とされています。 呼吸数が多い場合は精神的な不安などが影響している可能性があり、少ない場合は寝ている間に何度も呼吸が止まったり浅くなったりする「睡眠時無呼吸症候群」のおそれもありますので注意が必要です。
Apple Watchシリーズ4以降ではマイクによる睡眠中の環境音の測定が可能です。 家の外の車やいびきなどによる音を拾い、記録することができます。
目標睡眠時間に対してプラスの場合は預金、マイナスの場合は借金として記録され「睡眠負債」の目安とすることができます。
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毎日の履歴は、カレンダー風の画面でチェックすることができます。
「睡眠の評価(リング)」「睡眠時間」「睡眠時刻」「良質な睡眠」「深い睡眠」の表示項目を切り替えながら見ることが可能で、特定の日をタップすると詳細が表示されます。
より正確な測定を行ったり、快適に使うためのコツをご紹介いたします。
睡眠中に「目が覚めた」と判断される時間帯が多すぎる、少なすぎると感じた際は測定の調整を行うことができます。 アプリを使い始めて間もないうちは、正しい時間が記録されるように調整することをおすすめします。
「時計」の画面から、絵文字によるタグや文字による注釈を入れることができます。 運動をした、薬を服用した、お酒を飲んだなど睡眠の質に関わる出来事をメモとして記録しておくことが可能です。
iPhoneとApple Watchの「睡眠」設定で睡眠時間と起床時間を設定することで、設定時刻になると自動的に「睡眠モード」になり画面の点灯や通知による振動を防ぐことができます。 「睡眠準備」の時間も設定しておくと、通知で知らせてくれるので便利です。
Apple Watchの振動機能を使ったアラームが使用可能で、「タップ」「くすぐる」など複数の種類から選ぶことができます。 また時間通りのアラームに加え、「浅い眠りのタイミングで早めに起こす」といった指定も可能です。
私はAutoSleepで「くすぐる」で軽く振動した1分後に、Apple WatchとiPhoneの通常のアラームが鳴るするように設定しています。目覚めの良い日は「くすぐる」ですっきり起きることもできるのでおすすめです。 自身にあった設定を見つけてみてください。
正しく睡眠の測定を行うために、バンドは緩すぎたり、きつすぎたりしないよう適度に装着するのがポイントです。
スポーツタイプやソロループタイプのバンドは睡眠を妨げにくく、汗をかいても丸洗いしやすいのでおすすめです。 寝返りの際にマグネットが外れることがあるミラネーゼループや、枕などに引っ掛かる可能性がある金具で留めるタイプのレザーバンドは、おしゃれなアイテムですがどちらかというと睡眠の計測という点においてはあまり向いていないといえます。
睡眠の質は朝日を浴びる、適度な運動をするといった生活習慣や食生活などによって改善することができます。
アプリで睡眠時間や眠りが深いかどうかといった日々のデータを確認し記録することによって、自身の睡眠の質に悪影響を与えるものや改善に効果のある行動が見えやすくなり、睡眠の質を改善するうえでのモチベーションにも繋がります。
今回紹介した以外にも、様々なアプリやスマートウォッチがあります。睡眠の質が気になる、改善したいと考えている方はスリープテックの活用も選択肢の1つに加えてみてください。
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