グリーンハウス株式会社

理想の睡眠時間は?何時間睡眠がベスト?

最終更新日:2024.2.14

理想の睡眠時間は?何時間睡眠がベスト?

睡眠時間は、人によって大きな差があります。「自分は5時間眠れば大丈夫」という人もいれば、「休日に8時間以上寝だめしても寝足りない」と睡眠不足を感じる人もいるでしょう。

ほかにも「寝床にいる時間は長くても寝ている途中で目が覚めて、しっかり眠れた気がしない」という人も多いかもしれません。

「理想の睡眠時間は8時間以上」と長年言われてきましたが、実はそうとは限らないことが研究によって明らかになってきました。

そこで今回は、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら「理想の睡眠時間」「適正な睡眠時間」についてお届けしたいと思います。

自分の睡眠時間の短さ・長さに不安や疑問を抱いている人、休日に寝だめしても寝足りないと感じている人は、満足度が高い睡眠時間を得るためにもぜひ最後までお読みくださいね 。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

睡眠栄養指導士

小田 健史

健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!

<資格>
一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
 睡眠栄養指導士® 中級
 パーソナル睡眠アドバイザー®
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
 健康管理士 一般指導員

日本人の平均睡眠時間はどれくらい?

厚生労働省が公表した「令和3年度 健康実態調査結果の報告」によると、1日の睡眠時間が「6時間以上~7時間未満」という人が最も多く、全体の34.7%を占めています。次いで「5時間以上~6時間未満」となっていて、“理想の睡眠時間”と言われている「8時間以上」の人は全体の約10%となっています。

日本人の1日の平均睡眠時間

日本人の睡眠時間は世界一短い

「世界一睡眠時間が短い民族」と言われている日本人。日本人がいかに眠らない民族であるのかが分かるデータが、経済協力開発機構(OECD)の2021年版調査によって判明しています。

この調査は世界各国の平均睡眠時間を比較したもので、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で加盟国30カ国の中で最も短時間。さらに、日本人女性の平均睡眠時間は7時間22分よりも13分短く、世界一睡眠時間が短いということが明らかになりました。

女性の睡眠時間が短い理由として、女性ホルモンのバランス変化による身体への影響や、家事や介護の負担が大きいということが考えられています。

睡眠時間がとれていても、睡眠の質に満足できていない人が多い

「令和3年度 健康実態調査結果の報告」では「睡眠時間のとれている度合い」についての設問もあり、「睡眠時間が足りなかった」と回答した人は約20%であるのに対し、「睡眠全体の質に満足できなかった」と答えた人は約35%、「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と回答した人は約45%にも上りました。

この結果を見ると、睡眠時間を十分に確保出来ていても睡眠の質に満足できていない人が多いことが分かります。睡眠時間の長さ=睡眠の質の高さとは限らないようです。

理想の睡眠時間は何時間?

理想の睡眠時間は何時間?

昔から「理想の睡眠時間は8時間」と言われてきたにも関わらず、8時間以上の睡眠をとっても満足感を得られていない人が多いのはなぜでしょうか?

実は、適切な睡眠時間とされている「8時間」という数字に、明確な医学的根拠はないとされています。そこで、理想的な睡眠時間の具体的な目安となりそうなデータをご紹介します。

4時間程度の短い睡眠時間は生活習慣病のリスクを高める

ある研究で、健康な人が一晩だけ睡眠時間を8時間から4時間に短縮した場合の影響を調べると、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌が減少し、逆に食欲を高めるホルモンのグレリン分泌量が増加するという結果が出ました(※3)。

睡眠不足によってグレリンが分泌された場合は、高脂質・高カロリーな食べ物を好む傾向があり、その結果、高血圧や糖尿病、肥満といった生活習慣病を発症するリスクが高まります。

9時間以上の長い睡眠時間も悪影響を与える

短い睡眠が良くないのであれば長く眠れば良いのかと言えば、そうではありません。睡眠時間を9時間以上とっている70歳以上の人は、認知機能が低下するという研究結果が報告されています(※4)。

また、9時間以上の過剰な睡眠が心血管疾患やそのほかの慢性疾患による死亡リスクを上昇させるということだけでなく、睡眠時間が9時間以上の女性は糖尿病によって死亡する可能性が高いことも判明しています(※5)。

7時間前後の睡眠時間は、生活習慣病や死亡のリスクを下げる

日常的に7時間前後の睡眠をとっている人は生活習慣病になるリスクが低く(※1)、また死亡率や心血管疾患との関連性も低いという研究結果があります(※2)。

健康寿命を延ばすためには7時間前後の睡眠時間が理想

健康寿命を延ばすためには7時間前後の睡眠時間が理想

以上の結果を見ると、睡眠時間は短すぎても長すぎても健康に悪い影響があり、7時間前後が最も良いということが分かります。

適切な睡眠時間は個人によって大きな差があるため、一概に「7時間睡眠がベスト」とは言えませんが、健康寿命を延ばすためには7時間前後の睡眠時間が理想であると言えるでしょう。

※1:香川靖雄. "時間栄養学による生活習慣病の予防." 体力科学 63.3 (2014): 293-304.

※2:Svensson, Thomas, et al. "Association of sleep duration with all-and major-cause mortality among adults in Japan, China, Singapore, and Korea." JAMA network open 4.9 (2021): e2122837-e2122837.

※3:後藤伸子. "糖代謝における睡眠の重要性." 慶應保健研究 37.1 (2019): 023-028.

※4:Devore, Elizabeth E., et al. "Sleep duration in midlife and later life in relation to cognition." Journal of the American Geriatrics Society 62.6 (2014): 1073-1081.

※5:Kim, Yeonju, et al. "Insufficient and excessive amounts of sleep increase the risk of premature death from cardiovascular and other diseases: the Multiethnic Cohort Study." Preventive medicine 57.4 (2013): 377-385.

※6:Consensus Conference Panel:, et al. "Joint consensus statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society on the recommended amount of sleep for a healthy adult: methodology and discussion." Journal of Clinical Sleep Medicine 11.8 (2015): 931-952.

ぐっすり眠れない人急増中?それはセロトニン不足が原因かも… >>詳しく見る

最適な睡眠時間は年齢などによって異なる

適正睡眠時間は年齢や個人差、さらには季節によっても異なります。

年齢による変化

睡眠医学の専門分野に特化したアメリカ睡眠医学会(AASM:American Academy of Sleep Medicine) では、年齢別の推奨睡眠時間を以下のように推奨しています。

  • アメリカ睡眠医学会が推奨する睡眠時間

    • ・6~11歳:9時~12時間
    • ・13~18歳:8~10時間
    • ・20歳以上:7~9時間

実際の睡眠時間は年齢とともに減少し、15歳前後を基準として20年ごとに約30分ずつ短くなることが研究により明らかになっています(※)。

  • 年齢ごとの実際の睡眠時間

    • ・15歳前後:約8時間
    • ・25歳:約7時間
    • ・45歳:約6.5時間
    • ・65歳:約6時間

※:American Academy of Sleep Medicine(米国睡眠医学会).睡眠障害国際分類第3版.日本睡眠学会診断分類委員会訳.ライフサイエンス:東京:2018.

個人による違い

適正睡眠時間には個人差があるため、人によっては10時間まで、高齢者の場合は5時間未満の短い睡眠でも良いとされています(※6)。

季節による変動

睡眠時間は季節によっても変動することが分かっており、ドイツの研究グループによって冬場は睡眠時間が夏よりも30分間程度長くなったという実験結果が報告されています。

自身にとっての最適な睡眠時間の目安は?

厚生労働省健康局が公表した「健康づくりのための睡眠指針2014」では、睡眠時間について以下のように述べています。

第5条.年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を

・必要な睡眠時間は人それぞれ

・睡眠時間は加齢で徐々に短縮

・年をとると朝型化

・日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番

※厚生労働省健康局「健康づくりのための睡眠指針2014」

自身にとって最適な睡眠時間の長さを考えるうえで大切なのは、日中にだるさや眠気を感じない程度の時間を確保するということなのです。

また、健康のためには睡眠時間だけではなく睡眠の「質」も重要となります。

「しっかり寝たはずなのに眠い…」睡眠に悩む人必見!深いノンレム睡眠を増やし、眠りの質を改善する方法 >>詳しく見る

睡眠時間と睡眠の質に大きな影響を与える「セロトニン」と「メラトニン」

睡眠時間と睡眠の質に大きな影響を与える「セロトニン」と「メラトニン」

「健康づくりのための睡眠指針2014」でも記されているように、睡眠時間の長さは加齢とともに短くなっていきます。

その原因の一つが“睡眠ホルモン”と呼ばれ、眠りを誘う作用を持ち睡眠の質を高める「メラトニン」と、メラトニンの原料となり“幸せホルモン”と呼ばれる「セロトニン」の分泌量低下です。

メラトニンとセロトニンの分泌量は1歳から3歳頃までが最も多く、思春期以降はだんだん減少していきます。70歳以上になると、その分泌量はピーク時の10分の1以下にまで低下。加齢とともに睡眠時間が短くなるのは、自然なことなのです。

メラトニンの減少が与える悪影響

メラトニンの分泌が少なくなると、寝つきが悪くなり途中で目が覚めるなどの睡眠への影響が表れます。また睡眠への悪影響だけでなく、色々な病気を引き起こす可能性が高いことが指摘されています。

メラトンの分泌量不足によって発症が懸念される病気として挙げられているのは、アルツハイマー病や冠動脈性心疾患、乳がんや前立腺がんです。また、2型糖尿病の発症リスクを高めるとも言われています(※)。

メラトニンには神経細胞を守る効果があり、強い抗酸化作用をもっています。マウスによる実験では、メラトニンを投与したマウスの寿命を延ばすという結果が出ました。

セロトニンの分泌量を増やす方法

十分な睡眠時間と質が高い眠りを得るためには、メラトニンの分泌量を増やすことが大切です。そのためは、メラトニンの原料となる「セロトニン」を増加させることが肝心。セロトニンが朝から昼間にかけて十分に分泌されると、夕方から夜にかけてメラトニンを分泌し始めます。

理想の睡眠時間と質が高い眠りのために、セロトニンを増やしメラトニンの分泌量を増やすことを意識しましょう。

「トリプトファン」が含まれている食べ物を摂る

トリプトファンはセロトニンの原料となるアミノ酸で、プロセスチーズやキウイフルーツ、ブロッコリー、ケール、鶏ささみなどに多く含まれています。

朝日を浴びる

起床後に朝日を浴びることで、セロトニンの分泌が促進されます。

一定のリズムで歩く

一定のリズムで同じ動きをすることで、セロトニンの生成が活発化します。

※:服部淳彦. "メラトニンとエイジング." 比較生理生化学 34.1 (2017): 2-11.

セロトニンを増やす「ラフマ」とストレスを軽減させる「GABA」で、眠りの質を高める睡眠サプリ >>詳しく見る

理想的な睡眠時間と質の高い睡眠で健康に

理想的な睡眠時間と質の高い睡眠で健康に

さまざまな研究結果から、理想の睡眠時間は7時間前後であることが分かりました。しかし、それはあくまで目安。人によっては5時間程度でも大丈夫だったり8時間は必要だったりと個人差があるため、日中の眠気で困らない程度の睡眠をとることを第一に最適な睡眠時間を確保しましょう。

そして健康のためには時間だけではなく、睡眠の質も重要です。

理想的な睡眠時間と質の高い眠りで、生活習慣病のリスクを回避しましょう!

睡眠の質の向上をサポート
おすすめ記事
ひつじ