最終更新日:2023.10.03
近年、午後の仕事や勉強の作業効率、集中力を高める効果があるとして、日本でも昼寝を推奨する会社や学校が増えています。
昼寝の中でも、特に時間が短い昼寝は「パワーナップ(積極的仮眠)」と呼ばれ、Google社やApple社をはじめとした世界的な大企業やNASAで取り入れられ、その効果が実証されています。
今回は睡眠アドバイザーとしての立場から、昼寝(パワーナップ)をするメリットや効果を高める方法、昼寝のデメリットについて詳しく解説します。昼寝は、睡眠不足や睡眠の質が悪いと感じている人にもおすすめです。ぜひ最後まで読んで、効果的な昼寝・パワーナップの方法を覚えてくださいね。ぜひ最後まで読んで、効果的な昼寝・パワーナップの方法を覚えてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
近年、午後の仕事や勉強の効率アップや集中力を高める効果があるとして、「パワーナップ(積極的仮眠)」と呼ばれる昼寝を習慣化する人が増えました。
パワーナップとは、昼の12時頃から15時頃までの間にとる15分から30分程度の短い昼寝のことで、コーネル大学教授であり心理学博士のジェームズ・B・マース氏が、1990年代に発行した自著の中で提唱したものです。
昼寝もパワーナップも日中にとる仮眠という部分では同じですが、昼寝の方がパワーナップよりも若干時間が長く、人によってはベッドなどの寝具に横たわって眠ることもあり、パワーナップよりも深い眠りになる傾向があるようです。
一方、パワーナップは座ったまま眠ることがほとんどで、睡眠時間も15分~30分程度と短時間です。パワーナップの場合は、睡眠をとる姿勢になってから数分後に4段階あるノンレム睡眠の深さのうち、2段階目の「ノンレム睡眠第二層」という睡眠状態に入ります。その状態が2分程度続くと、脳がリフレッシュして頭の中がクリアに。そこまでに必要な時間は入眠から20分程度であるため、パワーナップの時間は15分から30分程度が最適とされているのです。
1日24時間の体温変動や自律神経などの調整、睡眠の周期などを調整する体内時計を「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼びます。サーカディアンリズムでは、1日のうちでもっとも眠くなる時間帯は午後3時からとされています。
日本人の多くは睡眠時間が足りず、睡眠負債を抱えている状態です。そこへサーカディアンリズムやランチ後の食後血糖値の上昇・下降にともなう眠気が重なると、強い眠気に襲われることになります。ひどい眠気は集中力の低下やケアレスミスの原因となり、重大な失敗につながる可能性もないとは言い切れません。
そうした事態を防ぐために有効なのが、昼寝やパワーナップです。日中に短時間の仮眠をとることで、午前中に蓄積した脳と身体の疲れがとれてリフレッシュできるだけでなく、ストレスも軽減されることが実験によって明らかになっています。
実験では、参加者に対してストレステストを実施後、休憩時間に昼寝をするグループとしないグループに分けて、休憩後にさらにストレスを強化。その後の報告で、昼寝をした方がストレス要因に伴う否定的な感情を大幅に改善できるという結果が示されました。このことから、急性のストレス要因を経験している時に気分を改善するには、短時間の昼寝が有用であると考えられます(※)。
ぐっすり眠れない人急増中?それはセロトニン不足が原因かも… >>詳しく見る
昼寝やパワーナップには多くのメリットがあることが分かりました。しかし、デメリットはないのでしょうか?昼寝の長さと時間によっては、夜の睡眠に悪影響を及ぼす場合があります。それでは、具体的な昼寝のデメリットについて解説しましょう。
昼寝を30分以上してしまうと、深い睡眠状態に入って短時間で起きられなくなります。無理に起きても頭がぼんやりしたり、より強い眠気を感じたりして作業効率の低下を引き起こすでしょう。
午後3時以降の昼寝は夜の睡眠にも影響を及ぼします。体内リズムが乱れて自律神経のバランスが崩れる要因にもなるため、午後3時以降の昼寝やパワーナップは控えましょう。
高齢になると、サーカディアンリズムが前倒しになることで、朝早過ぎる時間に目覚めてその後眠れなくなる「早朝覚醒」や、メラトニンの分泌量低下にともなうノンレム睡眠の減少、夜間頻尿の影響による中途覚醒など、様々な要因によって不眠症状が引き起こされます。そのため、年齢を重ねるほど睡眠の質が低下して、眠りの質に満足感を得られない人が増加する傾向にあるのです。
昼寝やパワーナップは、そんな高齢者の不眠問題にも良い効果をもたらすことが、ある調査によって明らかになりました。
調査では、睡眠問題がある55歳~75歳の住民を対象に睡眠に関する講座を実施。短い昼寝や夕方に軽い運動を行うことを習慣化するように指導したところ、約8割の参加者に睡眠状態や体調の改善が見られました(※)。
長時間の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼしますが、短時間の昼寝であれば不眠改善効果が期待できると言えそうです。
※:田中秀樹, 松下正輝, and 古谷真樹. "認知・行動的介入による高齢者の睡眠健康改善." 生理心理学と精神生理学 25.1 (2007): 61-71.
睡眠の質を高めて深く眠り、朝スッキリ目を覚ます方法とは? >>詳しく見る
それでは、昼寝の効果を高めるための具体的な方法をご紹介します。簡単にできる方法ばかりですので、ぜひ実践してみてくださいね。
覚醒作用があることで知られるカフェインですが、摂取してから体内に吸収されるまでに30分程度かかります。そのため、昼寝前にカフェイン入りのコーヒーなどを飲んでおくと、目覚めた時にカフェインの覚醒効果によって頭がスッキリします。
ベッドなど寝具を使って横になると、睡眠が深くなって20分では起きられなくなります。椅子に座って、デスクの上に顔を突っ伏した状態で寝るようにすれば、アラームですぐに目覚められるでしょう。デスク用の昼寝枕を利用するのもおすすめです。
脳を短時間でリフレッシュするためには、太陽光や照明が明るすぎない静かな場所で寝るのが理想的。難しい場合は、アイマスクで光を遮断したり、耳栓を使ったりして睡眠環境を整えましょう。
昼食後に眠くなるのは自然なことであり、誰にでも起こります。しかし、午後の仕事や授業に支障をきたすほど眠気が強い場合には、一度眠ってしまいましょう。昼寝をすることでリフレッシュできて、午後の仕事や勉強の効率アップが期待できます。
ひと昔前は、昼寝に対して「サボり」「怠け」というイメージがありましたが、現在ではポジティブなイメージが広がっているため、会社や学校でも昼寝をしやすい環境が整っているのではないでしょうか。
昼寝をしても強い眠気がとれない場合や、集中力が散漫になってしまう人は、夜の睡眠時間そのものが不足していたり、睡眠の質が低下していたりするかもしれません。
睡眠の質を高めるサプリの活用や生活習慣の改善で、良質な睡眠を得ましょう!
睡眠の質を高め深い眠りに導く睡眠サプリで、ぐっすり熟睡体験 >>詳しく見る