最終更新日:2024.12.17
近年、午後の仕事や勉強の作業効率、集中力を高める効果があるとして、日本でも昼寝(パワーナップ)を推奨する会社や学校が増えています。
しかし、中には「昼寝したら逆にだるくなる」という声も…。
そこで今回は、昼寝とパワーナップの違いから午後のパフォーマンスを向上させる昼寝の方法、昼寝のメリット・デメリットまで詳しく解説します!
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
近年、午後の仕事や勉強の効率アップや集中力を高める効果があるとして、「パワーナップ(積極的仮眠)」と呼ばれる昼寝を習慣化する人が増えました。
Google社やApple社をはじめとした世界的な大企業やNASAで取り入れられ、その効果が実証されています。
ところで、昼寝とパワーナップの違いは何でしょうか?
まずは、昼寝とパワーナップの違いについて解説します。
昼の12時頃から15時頃までの間にとる15分から20分程度の短い昼寝のこと。
イスに座ったまま眠ることがほとんどです。
コーネル大学教授であり心理学博士のジェームズ・B・マース氏が、1990年代に発行した自著の中で提唱しました。
一般的には20分~1時間程度の短時間睡眠のこと。
人によってはベッドなどの寝具に横たわって眠ることもあり、パワーナップよりも深い眠りになる傾向があります。
昼寝もパワーナップも、短い仮眠という点では共通しています。
しかし、午後の仕事や勉強の効率アップに効果的なのはパワーナップの方だと考えられます。
パワーナップは、睡眠をとる姿勢になってから数分後に4段階あるノンレム睡眠の深さのうち、2段階目の「ノンレム睡眠第二層」という睡眠状態に入ります。
その状態が2分程度続くと、脳がリフレッシュして頭の中がクリアになります。
そこまでに必要な時間は入眠から20分程度です。
パワーナップは深い睡眠状態に入る前に目覚めるため、起きてから眠気やだるさを感じにくくなります。
一方で30分以上の昼寝をすると、脳が深い睡眠状態に入りやすく、目覚めた後で頭がぼんやりしたり、体がだるくなったりすることが多くなります。
これは「睡眠慣性」と呼ばれるもので、目覚めた直後のパフォーマンスが一時的に低下する現象です。
それでは、昼寝やパワーナップの効果を高めるための具体的な方法をご紹介します。
すぐに実践できる簡単な方法ばかりですので、ぜひ試してみてくださいね。
カフェインは摂取してから体内に吸収されるまでに30分程度かかります。
そのため、昼寝前にカフェイン入りのコーヒーなどを飲んでおくと、カフェインの覚醒効果でスッキリ目覚められます。
ベッドなどで横たわって寝ると、深い眠りに入りやすくなります。
深い眠りに入ると、目覚めた時に頭がぼーっとしたり、だるさを感じやすくなったりするため、座った状態でデスクの上に顔を突っ伏した状態で寝ましょう。
デスク用の昼寝枕を利用するのもおすすめです。
脳を短時間でリフレッシュするためには、太陽光や照明が明るすぎない静かな場所で寝るのが理想的です。
難しい場合は、アイマスクで光を遮断したり、耳栓を使ったりして睡眠環境を整えましょう。
昼寝やパワーナップには、午前中の疲れを癒したり、脳や気持ちをリフレッシュしたりする効果や、ストレスを軽減する効果もあります。
昼寝によるストレス軽減効果の実証実験
実験では、参加者に対してストレステストを実施後、休憩時間に昼寝をするグループとしないグループに分けて、休憩後にさらにストレスを強化しました。
その後の報告で、昼寝をした方がストレス要因に伴う否定的な感情を大幅に改善できるという結果が示されました。
このことから、急性のストレス要因を経験している時に気分を改善するには、短時間の昼寝が有用であると考えられます(※)。
その一方で、誤った方法で昼寝やパワーナップをとると夜の睡眠に悪影響を与え、睡眠の質を悪くする可能性があります。
昼寝を30分以上してしまうと、深い睡眠状態に入って短時間で起きられなくなります。
無理に起きても頭がぼんやりしたり、より強い眠気を感じたりして作業効率が低下する可能性が高くなるでしょう。
午後3時以降に昼寝をすると、体内リズムが乱れて自律神経のバランスが崩れる要因となります。
自律神経が乱れると、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりして睡眠の質が低下。
不眠症状を引き起こす原因になるため、午後3時以降の昼寝やパワーナップは控えましょう。
睡眠の質を高めて毎晩ぐっすり!安眠できるポイントはセロトニンの分泌量! >>詳しく見る
加齢とともに、睡眠障害の頻度が増加することが明らかになっています(※)。
その代表的な不眠症状が、体内時計(概日リズム)が前倒しになることで引き起こされる「早朝覚醒」、夜間頻尿の影響による「中途覚醒」です。
また、“睡眠ホルモン”メラトニンの分泌量低下に伴ってノンレム睡眠が減少し、睡眠の質が悪くなります。
しかし、昼寝やパワーナップが高齢者の不眠問題に良い効果をもたらすことが、ある調査によって明らかになりました。
高齢者における昼寝と睡眠状態の関係についての調査
【対象】
睡眠問題がある55歳~75歳の住民
【内容・結果】
対象者に対して、睡眠に関する講座を実施。
短い昼寝や夕方に軽い運動を行うことを習慣化するように指導したところ、約8割の参加者に睡眠状態や体調の改善が見られました(※)。
※田中秀樹, 松下正輝, and 古谷真樹. "認知・行動的介入による高齢者の睡眠健康改善." 生理心理学と精神生理学 25.1 (2007): 61-71.
長時間の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼしますが、短時間の昼寝であれば不眠改善効果が期待できると言えそうです。
今回は、昼寝とパワーナップの違いや、効果を高めるコツなどについて解説しました。
昼食後に眠くなるのは自然なことであり、誰にでも起こります。
しかし、午後の仕事や授業に支障をきたすほど眠気が強い場合には、一度眠ってリフレッシュしましょう!
しかし、パワーナップをしても強い眠気がとれない人や頭がぼんやりする人は、そもそもの睡眠時間が足りていないかもしれません。
もしくは、睡眠の質が低下している可能性が考えられます。
その場合は、眠りの質を高める生活習慣を実践するのもおすすめです。
また、より良い眠りのために開発された睡眠サポートサプリを活用するのも良いでしょう。
昼寝やパワーナップを習慣化して、午後の仕事や勉強の効率アップを目指しませんか。
睡眠の質を高め深い眠りに導く睡眠サプリで、ぐっすり熟睡体験 >>詳しく見る