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足がむずむずして寝られないときの対処法|むずむず脚症候群の原因は?

最終更新日:2023.12.15

足がむずむずして寝られないときの対処法|むずむず脚症候群の原因は?

ベッドや布団に入っていざ寝ようとしたときに、脚にむずむずとした不快感や虫が這いまわるような感覚を覚えて、寝つけなくなることがありませんか?

それは「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」のおもな症状です。むずむず脚症候群によって睡眠の質が低下すると、日中に強い眠気を感じたり、疲れがとれなかったりして生活全体に悪影響を及ぼすだけでなく、睡眠不足の慢性化で重篤な病気にかかるリスクが上昇します。

今回は睡眠アドバイザーとしての立場から、「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」の症状と原因、脚がむずむずして眠れない時の対処法について、わかりやすく解説していきます。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

睡眠栄養指導士

小田 健史

健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!

<資格>
一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
 睡眠栄養指導士® 中級
 パーソナル睡眠アドバイザー®
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
 健康管理士 一般指導員

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の症状は?

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の症状は?

「むずむず脚症候群」は正式には「レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)」と呼ばれ、睡眠関連運動障害の一つです。

睡眠時や安静時に足にむずむずとした違和感や、虫が這いまわるような感覚を覚えて「足を動かしたい」という強い衝動にかられ、眠れなくなります。症状は主に足に発生しますが、顔や手、背中、お腹など全身に現れるケースもあります。

たとえ眠れたとしても眠りが浅く、中途覚醒や早朝覚醒といった不眠症の症状が表れることが少なくありません。その結果、睡眠不足によって疲れがとれなかったり、日中に強い眠気を感じて集中力が途切れたりといった様々な悪影響に見舞われます。

  • むずむず脚症候群の診断基準

    1. 脚を動かしたいという強い欲求が不快な下肢の異常感覚にともなって,あるいは異常感覚が原因となっておこる
    2. その異常感覚は安静にして静かに横になったり座ったりしている状態で始まる,あるいは増悪する
    3. その異常感覚は運動によって改善する
    4. その異常感覚が日中より夕方・夜間に増悪する
  • ※International RLS Study Group(IRLSSG)による診断基準

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)になりやすい人

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)になりやすい人

日本での「むずむず脚症候群」の発症率は2~5%程度で、200万~400万人程度です。ちなみにドイツでの有病率は9.8%、アメリカは19~24%(※)で、日本よりも多くの人がむずむず脚症候群の症状に悩まされていることが分かっています。

むずむず脚症候群は中年以降の人に症状が表れることが多く、男性よりも女性の有病率が約1.5倍多いという報告も。また、高齢者や妊娠している女性にもむずむず脚症候群の症状によって睡眠不足に陥る人が少なくありません。

※:大川匡子. "アジアにおける睡眠医療の現状と展望." 保健医療科学 61.1 (2012): 29-34.

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の原因

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の原因

むずむず脚症候群には「特発性(1次性)」と「2次性」と呼ばれる2種類があります。

特発性(1次性)の発症原因は解明されていないものの、ドパミン神経の機能異常による可能性が指摘されています(※)。

2次性のむずむず脚症候群は、何らかの疾患や症状がある人に出現することが多く、血液透析中の人や、貧血傾向にある人の有訴率が高くなっています。おもな発症原因として考えられているのは、鉄欠乏性貧血や腎不全、糖尿病、パーキンソン病、妊娠などです。また、遺伝的要因も考えられています。

※:平田幸一. "レストレスレッグス症候群の病態生理." 臨床精神薬理 15.4 (2012): 469-477.

脚がむずむずして眠れない時の対処法

脚がむずむずして眠れない時の対処法

むずむず脚症候群ははっきりとした発症原因が不明なため、確立した対処法はありません。しかし、生活習慣の見直しや不足している栄養素を摂取することで、症状が軽くなる可能性があります。

脚をマッサージする

脚に適度な刺激を与えることで、むずむずとした症状を緩和できることがあります。ただし激しいマッサージは症状を悪化させる恐れがあるため、優しくさする程度にとどめてください。

シャワーで温めるまたは冷やす

脚に温熱刺激を与えることで、症状が改善される場合があります。症状を和らげるお湯の温度は個人によって異なるため、自分にとって最適な温度を見つけましょう。

鉄分を補給する

むずむず脚症候群が起こる原因の一つに、鉄欠乏性貧血があります。そのため、鉄分を積極的に補給することで症状の改善が期待できます。女性は貧血傾向の人が多いため、貧血症状がひどい場合には医療機関で鉄剤を処方してもらう方が良いでしょう

アルコール・カフェインの摂取を控える

アルコールや、コーヒーや紅茶、チョコレートなどに含まれるカフェインはむずむず脚症候群の症状を悪化させるとされていますので、摂りすぎに注意を。また食後すぐにカフェインを摂取すると、食べ物から摂取した鉄分の吸収を邪魔してしまいます。コーヒーや紅茶を飲む場合は、食後30分以上経ってからがおすすめです。

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医療機関で適切な治療を受けよう

医療機関で適切な治療を受けよう

不眠症の要因となる「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」の症状と原因、対処法についてご紹介しました。

むずむず脚症候群によって睡眠不足が慢性化した場合、認知症や糖尿病、心疾患など様々な病気のリスクが上昇します。そういった事態を招かないためにも、自己診断ではなくまずは医療機関に相談することをおすすめします。病院で適切な治療を受けることが、むずむず脚症候群の症状改善への近道です。

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