最終更新日:2023.08.08
年々、日中の気温が上昇している日本の夏。気温が35℃以上の猛暑日や酷暑日が続くことも珍しくなくなりました。それに伴って、熱中症で救急搬送される人や、命を落とす人も増加しています。
熱中症の危険性については認知度が高まってきましたが、睡眠不足が熱中症の発症リスクを高めることは知っていますか?今回は睡眠アドバイザーとしての知識を交えながら、寝不足と熱中症の関係について、詳しく解説します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
熱中症は屋外で作業や運動を行なう時だけでなく、室内にいても発症する危険性があります。熱中症になる3大要因として挙げられるのが「環境」「体」、そして「行動」です。睡眠不足は、体の要因に該当します。
要因 | 具体例 |
---|---|
環境 | 気温・湿度が高い、日差しが強い、風がない、エアコンがない・または使わない |
体 | 高齢者や乳幼児、肥満、糖尿病や心疾患などの基礎疾患、下痢などによる脱水状態、低栄養状態、睡眠不足 |
行動 | 長時間にわたる屋外での作業や運動、水分補給できない状況、激しい運動 |
高齢者は温度に対する皮膚感覚が鈍いため、部屋の中にいても熱中症にかかるリスクが高いと言われています。厚生労働省が公表した資料によると、熱中症患者のおよそ半数は65歳以上。高齢者の熱中症リスクがいかに高いかが分かります
高齢者の中には、1人暮らしだったり、他の家族が仕事などで外出して家にいるのが自分だけだったりすると「1人なのにエアコンをつけるのはもったいない」と、エアコンを使わない人もいます。高齢者に対しては、エアコンを積極的に使うように声を掛けましょう
熱中症は初期の軽度な症状から命に関わる重篤な症状まで、深刻度によって状態が変化していきます。そのため、初期の段階で対応することが大切です。
熱中症の疑いがある場合は、すぐに涼しい場所へ移動して塩分や水分を補給しましょう。
他の人が熱中症によって体調を崩した場合は、衣服を脱がして風通しを良くし、体を冷やしてあげることが大切です。立てない場合や意識が混濁している場合はすぐに救急車を呼びましょう。
熱中症がとても危険なものであることを再確認したところで、次は熱中症の発症リスクと睡眠不足の関係性についてです。
眠りにつく時、体温は体の中心部の体温である「深部体温」が下がり、逆に手足の温度は放熱のため上昇します。しかし、夏は気温が高いため、深部体温が低下しにくくなって寝つきが悪くなるだけでなく、中途覚醒も増加傾向に。睡眠全体の質が悪くなり、十分な休息が得られず寝不足となります。
睡眠には、自律神経が深く関連しています。自律神経には日中に優位となって身体を活動モードにする「交感神経」と、夕方から夜間にかけて身体をリラックスさせ、眠りへと促す「副交感神経」があります。
夏は、強い紫外線による光の影響やこまめな体温調整のために、夜になっても交感神経が優位な状態が続きがちです。交感神経が活発に働いていると、就寝時間になっても副交感神経へと切り替わらず、寝つきが悪くなって睡眠不足の状態に。寝不足の状態は、ますます自律神経のバランスを崩します。
自律神経が乱れていると、体温調整もうまくできません。そうして熱中症にかかるリスクが上昇するのです。また、睡眠不足による免疫力低下も、熱中症になる危険性を高めます。
近年は、夜になっても最低気温が25℃を超える熱帯夜が続くことも珍しくありません。
熱帯夜と死亡率の関係性について、筑波大学や国立環境研究所のチームが日本47都道府県の43年間にわたるデータを分析した結果、熱帯夜は虚血性心疾患や脳梗塞などによる死亡リスクが1.09倍高くなることが分かりました(※1)。
熱帯夜の死亡リスクが上昇する原因の一つとして、気温や湿度が高い環境での睡眠は、たとえ深睡眠になっても交感神経が優位なままであるため、心血管系に負担がかかって死亡につながる可能性が考えられます(※2)。
また、就寝時のエアコン使用について、一晩中つけっぱなしにするか、タイマー設定をして途中で止めるのか悩む人も多いのではないでしょうか。
タイマー設定の場合、エアコンが停止すると暑苦しさで目覚めてしまう可能性が少なくありません。中途覚醒は、睡眠の質を低下させる大きな要因の一つです。熱中症対策や質の高い睡眠のためにも、エアコンは一晩中つけっぱなしの方が良いでしょう。
※2:四十竹美千代, et al. "温熱環境の睡眠および自律神経活動に及ぼす影響." 富山大学看護学会誌 11.1 (2012): 19-28.
熱中症の危険性についての認識は広まっている一方、発症要因についてはまだ認知度が低い部分もあります。寝不足が熱中症を引き起こす原因になるということを忘れずに、睡眠不足の時は普段よりもしっかりと熱中症対策をすることが大切です。
夏場の睡眠を良質なものにするためには、生活習慣や食生活の改善のほかに、深い眠りをサポートする成分が配合された睡眠サプリを試してみるのもおすすめです。朝までぐっすり寝て、夏の暑さに対抗できる体力を回復しましょう!
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