グリーンハウス株式会社

夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」の原因と治し方

最終更新日:2024.12.03

夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」の原因と治し方

夜中、寝ている途中で何度も目覚めてしまう「中途覚醒」は、睡眠障害の中でも特に多い症状です。

眠っている途中で起きてしまうために睡眠の質が低下し、日中に強い眠気を感じたり、睡眠による疲労回復が出来なかったりして、仕事や勉強などに悪影響を及ぼします。

今回は、睡眠アドバイザーとしての知識と私自身の経験を織り交ぜながら、中途覚醒の原因や治し方などについてお伝えします。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

睡眠栄養指導士

小田 健史

健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!

<資格>
一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
 睡眠栄養指導士® 中級
 パーソナル睡眠アドバイザー®
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
 健康管理士 一般指導員

中途覚醒とは

中途覚醒は不眠症の一つで、症状には2つの特徴があります。

中途覚醒の症状

  1. 眠りが浅く、睡眠の途中で何度も目が覚める
  2. 一度目が覚めるとなかなか寝付けず、寝付けても眠りが浅い
中途覚醒

夜中に目が覚めることは珍しいことではありません。しかし以下のような症状が続く場合は、中途覚醒が慢性化している可能性があります。

  1. 寝ている途中に覚醒してその後再入眠できないことが週に3回以上ある
  2. 熟睡できないことで日中に異常な眠気を感じる
  3. 疲労がたまるなど不調を感じる

睡眠中には脳を休ませて成長ホルモンを分泌する「ノンレム睡眠」と、身体を休ませて脳は活動する「レム睡眠」の交替が繰り返し行われています。

規則正しく交替が行われると質が高い睡眠となりますが、夜中に何度も目が覚めることでそのサイクルも乱れてしまいます。

睡眠の質を高め、深いノンレム睡眠をしっかりとる方法 >>詳しく見る

中途覚醒に悩む人は多い

令和5年1月に公表された「令和4年度 健康実態調査結果の報告」では、睡眠時間に関する問いに対して「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」と回答した人の数が最多となり、中途覚醒に悩む人がいかに多いかが分かる結果となりました。

睡眠時間のとれている度合い

その事実を裏付けるかのように、Yahoo!知恵袋などの質問サイトにも、中途覚醒に悩む人からの相談が数多く寄せられています。

一週間ほど前から中途覚醒が続いてます。

寝てから3時間弱で起きてしまい、少し時間を開けてもう一度寝る感じです。

※Yahoo!知恵袋より一部引用

最近中途覚醒をしてしまうのですが原因ってなんですか?

眠りについてから2、3時間後に1回起き、そこから2時間毎に目が覚めたりします。

※Yahoo!知恵袋より一部引用

夜中目が覚める。

最近毎日のように夜中の2時~3時の間に目が覚めます。

※Yahoo!知恵袋より一部引用
パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

小田

私自身も、疲れているはずなのに寝ている途中で何度も目が覚めて、全く熟睡感を得られなかった経験があります。

翌日は午前中から強い眠気に襲われ、仕事にも集中できず困りました。

夜中に何度も目が覚めるのはなぜ?中途覚醒の原因は?

夜中に目が覚めるのはなぜ?中途覚醒の原因

では、なぜ中途覚醒が起こるのでしょうか?

夜中に何度も目が覚めてしまう主な原因として、以下があげられます。

  • ストレス
  • 生活リズムの乱れ
  • 加齢
  • 夜間頻尿
  • いびき
  • 就寝前のお酒
  • 病気の影響

それぞれの内容について詳しく解説いたします。

ストレス

中途覚醒が起こる要因の中でも、特に影響を与えるのがストレスです。

その理由は、ストレスの蓄積によって自律神経が乱れることにあります。

自律神経とは?

自律神経は自分の意思とは関係なく、血圧や呼吸、代謝、消化などさまざまな機能を調整する神経系のことで、「交感神経」と「副交感神経」があります。

    • 交感神経
      日中の活動的な時間帯に働く。心拍数を増やし、血圧を上昇させる。身体を緊張状態にする
    • 副交感神経
      夕方から夜間にかけて優位になる。心拍数を減らし、血圧を低下させる。身体をリラックスさせて睡眠を促す
  • 交感神経と副交感神経

ストレスと自律神経、睡眠の関係

ストレスがたまると、私たちの体の中では“幸せホルモン”と呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌量が低下します。

セロトニンは、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」がスムーズに切り替わるようにサポートする役割を担っています。

ストレスが蓄積すると自律神経が乱れ、就寝時間が近付いても交感神経が昂ったままで眠気を感じなくなります。

結果として寝つきが悪くなり、寝られたとしても浅い眠りとなって中途覚醒しやすくなるのです。

ストレスと自律神経、睡眠の関係

また、良質な眠りに欠かせない“睡眠ホルモン”のメラトニンは、セロトニンから生成されます。

そのため、セロトニンが不足しているとメラトニンの分泌量も減少し、眠りの質が低下。

夜中に目が覚めやすくなる大きな要因となります。

セロトニンとメラトニン

ぐっすり眠れない人急増中?それはセロトニン不足が原因かも… >>詳しく見る

生活リズムの乱れ

セロトニンは目に光を浴びると分泌がスタートする性質があり、体内時計をリセットする役割も果たします。

起きてすぐに朝日を浴びるのが効果的ですが、起床時間がバラバラになるとこの働きが不十分になります。

また食事や入浴・就寝時間などのタイミングが不規則になることも体内時計が乱れる原因となり、セロトニンの分泌量が低下する要因の一つです。

生活リズムの乱れがセロトニン減少の要因に

加齢

中途覚醒の平均時間は年齢が10歳上がるごとに9.7分増加し、20代で30分前後、40代で50分前後、60代で70分前後となることがカナダのトロント大学などの研究により分かりました(※1)。

睡眠効率も、若年者は通常90%以上となるのと比較して、65歳以上では80%以下にまで低下する傾向があります(※2)。

就寝時間は加齢とともに前倒しになる傾向があります。

寝る時間が早くなる分、早朝に目覚めるようになり、夜間の睡眠リズムが大きく変化。また早起きした分、昼寝の時間が長くなって夜間の眠りの質が低下し、中途覚醒する割合が多くなります。

加齢による中途覚醒

トイレのために目が覚める「夜間頻尿」

加齢による頻尿も、中途覚醒を増やす大きな原因です。

寝ている途中でトイレのために目が覚める「夜間頻尿」は加齢とともに割合が増加し、40代の人の約4割、50代で約6割の人に発生しています。

さらに、60代では男性約4割、女性約3割、70代になると男性の約6割、女性の約5割が夜中に2回以上排尿のために目が覚めていることが明らかになっています(※3)。

夜間頻尿も中途覚醒を増やす大きな原因

いびき

いびきにより呼吸が不安定になり息苦しくなることに加え、その音によって目が覚めてしまうこともあります。

就寝前のお酒

アルコールを摂取すると一時的に寝つきは良くなりますが、眠りそのものは浅くなって目覚めも悪くなります。

さらに、毎晩飲み続けるとアルコールに対して耐性がついて寝つきが悪くなり、眠るために飲酒量が増加してアルコール依存症になる恐れも。

またアルコールの摂取量が増えると悪夢を見ることが多くなり、中途覚醒が増えます(※4)。

病気の影響

病気の中には、症状の一つとして中途覚醒を引き起こしやすい疾患が少なくありません。

「睡眠時無呼吸症候群」では睡眠中に無呼吸になることで眠りが浅くなるほか、息苦しさのために何度も目覚めて睡眠時間が断続的になる傾向があります。

また睡眠時無呼吸症候群の症状がある人の47.8%に、夜間頻尿がみられるとの報告もあります(※5)。

低酸素状態が膀胱の内圧を上昇させることなどが原因と考えられています。

脚にムズムズとした感覚や虫が這うような感覚が出現する「レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)」の症状も、夜中に目が覚める原因となります。

※1 出典:Mark I Boulos, Trevor Jairam, Tetyana Kendzerska, James Im, Anastasia Mekhael, Brian J Murray. Normal polysomnography parameters in healthy adults: a systematic review and meta-analysis April 2019 The Lancet Respiratory Medicine.

※2 出典:三島和夫. "高齢者の睡眠と睡眠障害." 保健医療科学= Journal of the National Institute of Public Health 64.1 (2015): 27-32.

※3 出典:本間之夫, 柿崎秀宏, 後藤百万, 武井実根雄, 山西友典, 林邦彦, 排尿に関する疫学的研究 日本排尿機能学会誌 14 (2), 266-277, 2003

※4 出典:アルコール依存症に関連する睡眠障害/精神経誌 (2010) 112巻8号

※5 出典:Hajduk, Istvan A., et al. "Prevalence and predictors of nocturia in obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome-a retrospective study." Sleep 26.1 (2003): 61-64.

「夜中に何回も目が覚める…」睡眠に悩む人必見!深いノンレム睡眠を増やし、眠りの質を改善する方法 >>詳しく見る

中途覚醒の治し方

中途覚醒しやすくなる理由が分かったところで、次は中途覚醒を治す方法についてお伝えします。

  • 朝、太陽の光を浴びる
  • 起床・就寝のタイミングを毎日同じ時間にする
  • 一定のリズムで体を動かす
  • 寝床ではスマホやタブレットを見ない・触らない
  • 自分に合ったストレス解消法を見つける
  • 寝る前にカフェインやアルコールを摂らないようにする
  • セロトニンを増やす食品を摂取する

それぞれについて、詳しく解説いたします。今日からでもすぐに実践できる方法ばかりですので、夜中に目が覚めて困っている人は試してみてくださいね。

朝、太陽の光を浴びる

目覚めてすぐに日光を浴びることで、セロトニンの分泌がスタートします。

曇りや雨の日は光の量が少なくなりますが、それでも光が当たる場所で過ごすとセロトニンの分泌が促されます。

朝、太陽の光を浴びる
パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

小田

休日は起きてもカーテンをなかなか開けないという人が多いかもしれませんが、睡眠の質を高めて中途覚醒を解消するためにも、「起きたらまずカーテンを開ける」ことを毎朝のルーティンにしましょう。

起床・就寝のタイミングを毎日同じ時間にする

生活リズムを一定にすることで体内時計が整い、セロトニンの分泌量増加につながります。

セロトニンの分泌量が増えると睡眠の質が良くなるだけでなく、自律神経もバランス良く働くようになって、体のさまざまな不調の改善が期待できます。

一定のリズムで体を動かす

同じリズムで体を動かし続けると、セロトニンの分泌が促進されます。

特におすすめなのが、一定のスピードで歩くウォーキングです。実際に、高齢者を対象に行った調査では1日に歩く歩数が多いほど睡眠効率が高くなるという結果が報告されています(※)。

ウォーキング

寝床ではスマホやタブレットを見ない・触らない

スマートフォンやタブレットの画面から発せられるブルーライトの影響によって、メラトニンの分泌が止まったり、分泌量が減少したりすることが分かっています。

また、スマホなどから得たSNSやニュース、動画などの情報によって脳が興奮して、スムーズに眠れなくなる可能性も。寝られたとしても浅い眠りとなって、中途覚醒しやすくなります。

就寝の2時間前を目安に、スマホやタブレットから離れましょう。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

小田

「夜中に目が覚めると、つい時間を確認するためにスマホに手を伸ばしてしまいますよね。そのついでにニュースを見たり、SNSをチェックしたり…。

私自身、そのせいで眠れなくなった経験があります。今では睡眠の質を高めるために、寝る時はスマホをベッドから離れた場所に置いています。

自分に合ったストレス解消法を見つける

睡眠前の軽いストレッチやヨガには、呼吸を深くしてリラックス効果を高める作用があります。

眠りを誘うラベンダーなどのアロマオイルを焚くのも良いでしょう。自分に合うストレス解消法を日頃から見つけておくことで、こまめにメンタルケアができます。

自分に合ったストレス解消法を見つける

寝る前にカフェインやアルコールを摂らないようにする

夜間のアルコールやカフェインの摂取は睡眠の質を低下させるだけでなく、利尿作用によって夜中に目が覚める原因となります。

夜間頻尿に効果的なのが、夕方以降に行う散歩やストレッチなどの軽い運動です。下半身を動かして、日中に溜まった下半身の水分排出を促します。

また、足を高くした状態で横になるのも夜間頻尿対策に効果があるとされています。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

小田

私はお酒が好きで、アルコールと睡眠の関係について知るまでは、毎日のように寝る直前まで飲んでいました。

でも、寝る前の飲酒を控えるようになってからは、夜中に目覚めることが少なくなりました。

セロトニンを増やす食品を摂取する

質が高い眠りをもたらす、睡眠ホルモンのメラトニン。

メラトニンの原料となるのはセロトニンですが、そのセロトニンを生成するために欠かせないのがトリプトファンです。

トリプトファンは必須アミノ酸の一種で、体内では作り出せません。そのため、食品からの摂取が必要です。

チーズ・ヨーグルト・大豆・ナッツ・バナナなどの多く含まれる食べ物を適量取り入れ、栄養バランスがとれた食生活を心掛けましょう。

※ 出典:Kimura, Noriyuki, et al. "Association between objectively measured walking steps and sleep in community-dwelling older adults: a prospective cohort study." Plos one 15.12 (2020): e0243910.

睡眠で大切なのは長さよりも“質”

今回は「中途覚醒」について解説しました。

睡眠で大切なのは、「長さ」よりも「質」だと言われています。寝不足を解消するために早く寝床に入っても、睡眠のサイクルが乱れていると夜中に何度も目が覚めることが少なくありません。

睡眠で大切なのは長さよりも“質”

すると、眠りによる十分な疲労回復が行われなかったり、内臓代謝に影響を及ぼしたりして、生活習慣病の発症リスクが高くなる可能性があります。

今回ご紹介したような中途覚醒の症状が続いている人は、生活習慣を見直しましょう。

とは言え、忙しい毎日の中で生活習慣を変えるのは難しいという人もいるのではないでしょうか。

その場合は、睡眠の質を高める成分が配合されたサプリメントを活用するのもおすすめです。

無理なく、手軽な方法でより良い睡眠時間を手に入れてくださいね。

セロトニンを増やす「ラフマ」とストレスを軽減させる「GABA」で、眠りの質を高める睡眠サプリ >>詳しく見る

睡眠の質の向上をサポート
おすすめ記事
ひつじ