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食べてすぐ寝るのがダメな理由は?肥満や不眠の原因になる?

最終更新日:2024.1.15

食べてすぐ寝るのがダメな理由は?肥満や不眠の原因になる?

忙しい日が続くと、生活リズムも不規則になりがち。食事の時間もバラバラになり、遅い時間に夕食を食べ、時間をおかずに入浴してすぐ就寝…。そんな生活を送っている人も多いのではないでしょうか?

今回は、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら、食後すぐの睡眠が体に及ぼす影響や、食べてすぐ眠くなる原因などについて解説します。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

睡眠栄養指導士

小田 健史

健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!

<資格>
一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
 睡眠栄養指導士® 中級
 パーソナル睡眠アドバイザー®
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
 健康管理士 一般指導員

食べてすぐ寝てはいけない理由は?なぜ食後すぐに寝てはいけないの?

「食べた後にすぐ寝るのは体に良くない」とよく言われますが、それはなぜなのでしょうか?まずは、食後すぐに眠るのを避けるべき理由について解説します。

逆流性食道炎を起こしやすくなる

食後は胃酸が多く分泌されるため、食べてすぐに横になると胃酸が逆流しやすくなります。

逆流性食道炎のリスクを下げるためには、食後2時間程度は寝ないようにしましょう。もしどうしても寝たい場合は、適度に上半身を起こした状態で休むと、胃酸の逆流を抑えられます。

逆流性食道炎のリスクを下げるためには、食後2時間程度は寝ないようにしましょう

自律神経が乱れて消化不良を引き起こす

体の様々な機能は、交感神経と副交感神経という2種類の自律神経によって自動的に調整されています。睡眠時は、副交感神経が優位になって内臓の働きが低下。そのため、食べてすぐに寝ると消化不良を引き起こしやすくなります。

心血管疾患や脳卒中のリスクが上昇

食後は消化のために血液が胃腸に集まり、食後低血圧が起こりやすくなります。食後低血圧は血圧の変動を大きくして、心血管疾患や脳卒中の発症リスクが上昇する要因となります。

太りやすくなる

食べてすぐに寝ると、体重が増える可能性が高くなります。

平均年齢20.5歳の女子大学生33名を対象として「夜遅い時刻の食事が食事誘発性熱産生(DIT)に及ぼす影響」について実施した調査で、被験者を7:00、13:00、19:00に食事をする朝型生活群と13:00、19:00、1:00に食事をする夜型生活群に分けて比較したところ、食事を遅い時間に摂るとDITの上昇量が小さいため摂食によるエネルギー消費量が少なくなり、エネルギーを過剰に蓄積することが推察される結果が出ました。

このことから、夜型の生活を続けることでエネルギー消費量の低下が蓄積し、体重増加につながる可能性が考えられます(※1)。

また、ある医療機関において健診受信者6,826人(20歳~79歳、女性2,976名、男性3,850名)を対象に生活習慣とBMIの関連性について調査を実施。すると、就寝時間2時間以内に夕食を摂ることが週に3回以上ある群では、男女ともBMIが高値だったことが明らかになりました(※2)。

太りやすくなる

太る原因に関係する?「BMAL1(ビーマルワン)」とは

食後すぐに寝ると太る要因の一つに「BMAL1」というタンパク質の一種が関係していると考えられています。

BMAL1は体内時計(概日リズム)の生成に必要な遺伝子であり、マウスで行った実験によって、BMAL1が欠損すると様々な組織で老化細胞が増加することが明らかになりました(※3)。

BMAL1は脂肪生成を調節していますが、メタボリックシンドローム患者は内臓脂肪組織においてのBMAL1の機能が調節不全になっています。マウスを使った実験では、BMAL1の機能障害がメタボリックシンドローム発症につながると結論付けられました(※4)。

BMAL1を改変して体内時計機能を欠損したマウスで実験を行ったところ、褐色脂肪組織の体内時計は脂肪のエネルギーを熱に変化するリズムを制御しており、このリズムが障害された場合に高脂肪食を摂取すると、より太りやすくなることが分かっています。

BMAL1(ビーマルワン)

褐色脂肪細胞は脂肪を分解し、熱を産生することで体温を維持します。そのため、褐色脂肪細胞の機能が低い場合には太りやすく、生活習慣病になりやすいとされているのです(※5)。

また、同じ食事内容であっても、朝食で摂れば夜食の4倍の食事誘導性エネルギーが発生し、逆に夜食で摂れば多くが脂肪として蓄えられることが報告されています(※6)。

※1:関野由香, 柏絵理子, and 中村丁次. "食事時刻の変化が若年女子の食事誘発性熱産生に及ぼす影響." 日本栄養・食糧学会誌 63.3 (2010): 101-106.

※2:久保田修, et al. "生活習慣と BMI の関連について-健診受診者 6,826 人の集計より." 人間ドック (Ningen Dock) 25.4 (2010): 626-632.

※3:カプレ、ロヒニ V. 他 「概日時計タンパク質BMAL1は、生体内での細胞老化を調節します。」細胞周期10.23 (2011): 4162-4169.

※4:榛葉、茂樹 他 「時計遺伝子である脳と筋肉のArnt様タンパク質-1(BMAL1)が欠損すると、脂質異常症と異所性脂肪形成が誘発される。」PloS one 6.9 (2011): e25231.

※5:Nazmul Hasan, Naoto Nagata, Jun-ichi Morishige, Md Tarikul Islam, Zheng Jing, Ken-ichi Harada, Michihiro Mieda, Masanori Ono, Hiroshi Fujiwara, Takiko Daikoku, Tomoko Fujiwara, Yoshiko Maida, Tsuguhito Ota, Shigeki Shimba, Shuichi Kaneko, Akio Fujimura, Hitoshi Ando,Brown adipocyte-specific knockout of Bmal1 causes mild but significant thermogenesis impairment in mice,Molecular Metabolism,Volume 49,2021,101202,

※6:香川靖雄. "肥満・糖尿病の予防治療と時間栄養学." 体力科学 63.1 (2014): 4-4.

食後に眠くなる原因は?食べてすぐ眠くなる人の特徴とは

食事をした後に眠気を感じる理由として、血糖値や血圧の変動が大きくなることが関係していると考えられています。

食後性低血圧

食事をすると、消化のために血液が腸へ集まります。

通常であれば、交感神経の働きによる心拍数の増加などで血圧が正常値に戻りますが、自律神経が乱れている人や高齢者は交感神経が働かないために血圧が急低下。その結果、強い眠気やめまい、ひどい場合には失神することがあり、高齢者の転倒事故の原因にもなりかねません。

血糖値スパイク

食後は誰でも血糖値が上がりますが、糖質(炭水化物など)を多く摂ると血糖値が急上昇します。すると、血糖値を正常値に戻そうとしてインスリンが大量に分泌され、血糖値が急降下して低血糖状態に。低血糖状になると、強い眠気やだるさを感じやすくなります。

血糖値スパイク
  • 食べてすぐに寝たくなる人におすすめの対策

    • ・炭水化物など糖質が多い食品を減らす
    • ・おなか一杯になるまで食べないようにする
    • ・食物繊維が多い野菜から最初に食べて、血糖値の急上昇を抑える

ランチの後ならすぐに寝てもOK?昼寝のメリットとは

昼ご飯を食べた後に眠くなるのも、血糖値スパイクや食後性低血圧が原因である可能性が高いでしょう。しかし、そうでない場合でも若年者では14時~17時、高齢者では12時~15時が眠くなりやすい時間帯とされています。人によっては食後すぐのタイミングにあたる時間帯かもしれません。

昼寝

しかし、昼寝は健康や午後のパフォーマンスの向上に役立つことが分かっています。

疫学調査では、30分間の午後の仮眠をとっている人は虚血性心疾患の罹患率が低いことが示され、午後の仮眠中には血圧が低下するという報告も。それが中高年の高血圧や虚血性心疾患の予防に役立っていることが示唆されています(※1)。

また、運動部に所属する男子大学生10名を対象に、短時間仮眠が運動パフォーマンスに及ぼす効果を検討したところ、昼食後に短時間仮眠をとるとその後の運動パフォーマンスが改善されることが明らかになりました(※2)。

このことから、食べてすぐのタイミングでも、短時間の昼寝ならば睡眠不足解消や疲労回復などのメリットが得られることが期待できると言えるでしょう。

※1:玉木宗久. "健康高齢者における午後の仮眠の効果に関する研究." (No Title) (2000).

※2:山本哲朗, and 林光緒. "短時間仮眠が午後の運動パフォーマンスに及ぼす効果." 生理心理学と精神生理学 24.3 (2006): 249-256.

寝る前の食事は睡眠の質が低下する原因にも

寝る直前の食事は太りやすくなったり、自律神経が乱れたりする原因となるだけでなく、睡眠の質を低下させる要因にもなります。

質が低い眠りは腸内環境の悪化につながり、体調不良や抑うつ状態などの症状を引き起こす場合があります。

寝る前の食事は睡眠の質が低下する原因にも

夕食は早い時間に「腹八分目」がポイント!

夕食を食べ終えてから寝るまでに、何時間程度の間隔を開けた方が良いのでしょうか?

夕食終了から就寝までの間隔が生活習慣病の有病割合に与える影響について、成人722人(男性470名、女性252名、平均年齢40.4歳±9.5歳)を対象に行った調査があります。

調査では、夕食終了から就寝までの間隔を開けることが、高血圧リスクの低下に関連することが示唆されました。夕食終了から就寝までの間隔が短い場合、自律神経系やホルモン系が何らかの影響を受けてサーカディアンリズムが狂い、血圧上昇に至る可能性が考えられています(※)。

また、人間は体の中心部分の温度である「深部体温」が低下していく段階で眠気を感じ、眠りにつきます。しかし、食後は「食事誘発性熱産生」によって食事で摂取した栄養素が分解され、体温が上昇。そのために寝つきが悪くなり、睡眠の質が低下するのです。

睡眠の質を上げるためには、就寝時間の3時間前には食事を終えるようにしましょう。

※:中本真理子, et al. "勤労者の夕食終了から就寝時間までの間隔と健康状態との関係." 日本栄養・食糧学会誌 66.4 (2013): 185-193.

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空腹で眠れない時におすすめの食べ物

早めに夕食を摂った場合、寝る前に空腹を感じて眠れなくなることがあるかもしれません。空腹のあまり寝つけない場合は、消化が良い食べ物を食べておなかを落ち着かせましょう。

おなかがすいて眠れない時におすすめの食べ物をご紹介します。

空腹で眠れない時におすすめの食べ物

ゆで卵

ゆで卵は低カロリーで高タンパク質、さらに低糖質で脂肪になりにくい優秀な食品です。ビタミンも豊富で、美容効果も期待できます。

豆腐

ヘルシー食材の代表格・豆腐。タンパク質とカルシウムが豊富で、カロリーも低いので夜食にぴったりです。体を冷やさないように、レンジで少し温めて食べましょう。

かつお節をかけると、かつお節に含まれるビタミンDがカルシウムの吸収率を高めて、さらに体に嬉しい食べ物へとグレードアップします。

睡眠の質を高めるためにも食べてすぐ寝るのはやめよう

今回は、食べてすぐ寝るのがダメな理由や、夕食と就寝時間の間隔などについて解説しました。

食後、すぐに眠気を感じてウトウトすることが多い人は、寝不足や睡眠の質が低下しているかもしれません。日常生活に支障をきたすほどの眠気がある場合は、専門医や医療機関へ早めに相談することをおすすめします。

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