最終更新日:2024.12.11
最近、朝までぐっすり熟睡できていますか?
「なかなか寝つけない」「眠りが浅くて夜中に何度も目が覚める」といった症状が続いている人は、不眠症かもしれません。
不眠症になる原因の一つが、ストレスです。
そこで今回は、ストレスと不眠の関係や、ストレスがたまって眠れない時の対処法などについて、睡眠アドバイザーとしての知識を交えながら詳しく解説します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
自律神経には、日中の活動時に働く交感神経と、夜のリラックス時に働く副交感神経があります。
ストレスを受け続けると交感神経が優位になり、常に心身が緊張・興奮した状態に陥ります。
すると、就寝時刻になってもリラックスできず、ベッドや布団に入っても目が冴えた状態が続いて寝つけません。
たとえ寝られたとしても眠りが浅く、質が悪い睡眠となります。
セロトニンは、気分を安定させる役割を持つ神経伝達物質であり、“幸せホルモン”の異名でも知られています。
セロトニンは、眠りを促したり、睡眠の質を高めたりする作用があるホルモン「メラトニン」の原料です。
日中に十分な量のセロトニンが生成されることで、夕方以降にメラトニンが多く分泌されます。
しかし、ストレスが過剰にかかると、セロトニンの分泌量が減少。
その影響でメラトニンの生成量も低下し、寝つきの悪さや睡眠の質の低下に繋がります。
セロトニンとメラトニンが十分に分泌される生活習慣や食生活を送ることが、不眠解消の第一歩といえるでしょう。
副腎皮質ホルモン「コルチゾール」は、代謝の促進や免疫抑制など人体にとって必要不可欠な物質です。
しかし、ストレスを感じるとコルチゾールの分泌量が過剰になります。
コルチゾールの血中濃度が高くなると覚醒状態が続き、夜になっても心身が興奮した状態です。
コルチゾールの分泌量が低下するのは深い眠りのノンレム睡眠時です。
そのため、覚醒状態が続いて眠りが浅いと分泌量が減少せず、悪循環が引き起こされて不眠が深刻化します。
コルチゾールの過剰分泌は、不眠のほかにうつ病や高血圧、クッシング症候群の原因となります。
女性は男性に比べて、ストレスが原因の不眠に悩まされる傾向があります。
その理由として、以下の要因が挙げられます。
女性特有のホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)の周期的な変動が、ストレスへの感受性を高め、不眠を引き起こしやすくします。
特に月経前症候群(PMS)や更年期には、この傾向が顕著です。
女性は家庭や職場での多重役割を担うことが多く、精神的負担が増加することがあります。
女性はセロトニンの生成が男性よりも影響を受けやすいとされています。
これにより、ストレス時のセロトニン分泌の減少が、睡眠障害を引き起こしやすくなります。
これらの要因を踏まえ、女性に特化したストレスケアと睡眠改善のアプローチが必要といえるでしょう。
次は、ストレスによる不眠対策におすすめの生活習慣を紹介します。
セロトニン分泌を増やすために、以下のような生活習慣を取り入れてみませんか。
セロトニンの分泌量を増やす生活習慣
①起きてすぐに太陽光を浴びる
目覚めてすぐに太陽光を浴びることで、セロトニンの生成が促進されます。
②適度な運動を行う
ウォーキングやヨガなどの軽い運動は、セロトニン分泌を助けます。
③深呼吸や瞑想を行う
呼吸法は、ストレスを緩和して自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
④生活リズムを毎日一定にする
特に女性の場合、一定の生活リズムを保つことでホルモンバランスを整え、セロトニン分泌が促進されます。
ストレスによる不眠を改善するためには、栄養素の補給が重要です。
不眠解消効果が期待できる栄養素と、豊富に含まれる食材を紹介します。
トリプトファンは、“睡眠ホルモン”メラトニンの原料であるセロトニン分泌のために欠かせない必須アミノ酸です。
トリプトファンには、老化を進行させる活性酸素の除去作用もあります。
トリプトファンは体内では生成できません。
そのため、食べ物から摂取する必要があります。
多く含まれている食べ物・飲み物
バナナ、大豆製品、乳製品、卵、牛乳
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ストレスを感じると、体内で多くのタンパク質が消費されます。
タンパク質が不足すると免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、歯周病が悪化したりします。
タンパク質は食事量の減少とともに不足する栄養素です。
ストレスで食欲が低下している時ほど、タンパク質を多く含む食材を摂ることを意識しましょう。
多く含まれている食べ物・飲み物
豚ロース、鶏もも肉、魚介類、大豆製品、牛乳、ココア
オメガ3系脂肪酸には、脳の認知機能を向上させるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)、血中中性脂肪を下げて血液をサラサラにするα-リノレン酸が含まれています。
オメガ3系脂肪酸には、不安症状を軽減させてうつ症状を改善する効果があることが、2018年に米国医師会雑誌で発表されました。
多く含まれている食べ物・飲み物
イワシ、サバ、サンマ、えごま油、アマニ油
近年、注目を集めている栄養素「GABA(ギャバ)」。
GABAはγ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)の略語で、興奮状態の神経をリラックスさせて副交感神経を優位にするほか、睡眠の質を向上させる効果が認められています。
GABAは体内で生成できますが、ストレスがたまると生成量よりも多くのGABAが消費されるため、興奮・緊張状態が続くことに。
精神を安定させるため、積極的に摂りたい栄養分の一つです。
多く含まれている食べ物・飲み物
トマト、ジャガイモ、漬物、発芽玄米、味噌、甘酒
ストレスを軽減させる成分「GABA」で、眠りの質を高める方法 >>詳しく見る
ストレスを感じると、交感神経を活性化させるホルモンの1つであるアドレナリンが分泌されます。
その際、大量に消費されるのがビタミンCです。
ビタミンCが減ると、体内では活性酸素が増加。
その結果、頭痛や胃の痛みを感じるようになります。
多く含まれている食べ物・飲み物
アセロラ、パプリカ、ゴールデンキウイ、ブロッコリー、煎茶
ビタミンB群は糖質・脂質・タンパク質の代謝に欠かせない栄養群です。
中でも水溶性のビタミンB2は細胞の成長を促し、不足すると口角炎や皮膚炎、ストレス性潰瘍などを引き起こします。
身体がストレス状態にあるときは、通常よりも多くのビタミンB2が消費されています。
多く含まれている食べ物・飲み物
豚レバー、アーモンド、卵、乳製品、納豆、煎茶、ココア
栄養素 | 多く含まれている食べ物 |
---|---|
トリプトファン | バナナ、大豆製品、乳製品、卵、牛乳 |
タンパク質 | 豚ロース、鶏もも肉、魚介類、大豆製品、牛乳、ココア |
オメガ3系脂肪酸 | ワシ、サバ、サンマ、えごま油、アマニ油 |
GABA | トマト、ジャガイモ、漬物、発芽玄米、味噌、甘酒 |
ビタミンC | アセロラ、パプリカ、ゴールデンキウイ、ブロッコリー、煎茶 |
ビタミンB2 | 豚レバー、アーモンド、卵、乳製品、納豆、煎茶、ココア |
ストレスで眠れない場合、「早く寝なければ」と焦る気持ちがストレスの要因となり、余計に不眠を招くという悪循環に陥りがちです。
ストレス・不安と不眠の悪循環を断ち切るためにも、今回ご紹介した内容を参考にしてくださいね。
また、眠りの質を高める成分が配合された睡眠サポートサプリを活用するのも、有効な手段です。
もしも不眠状態が1ヶ月以上続くようなら、睡眠専門外来がある病院への受診や、睡眠専門医へ相談することをおすすめします。