最終更新日:2024.12.09
お酒を飲むと眠くなる、お酒を飲んでいる途中で寝落ちしてしまった…。
そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか?
また、逆に「お酒を飲むと目が冴えて眠れない」という人がいるかもしれません。
そこで今回は、お酒を飲むと眠くなる理由や、寝る前に飲酒することのリスクなどについて、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら解説していきます。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
お酒を飲むと眠くなる理由として挙げられるのが、アルコールが持つリラックス効果によるものです。
アルコールには、脳内の神経伝達物質である「ガンマアミノ酪酸(GABA)」の働きを強める作用があります。
GABAとは
GABA(ガンマアミノ酪酸)はヒトをはじめとする哺乳動物の脳や脊髄に高濃度に存在する神経伝達物質です。
GABAには副交感神経の働きを活性化させてリラックス感を高めたり、ストレスを緩和したりする作用があるとされています(※)。
※藤林真美, et al. "GABA 経口摂取による自律神経活動の活性化." 日本栄養・食糧学会誌 61.3 (2008): 129-133.
少量のアルコールは不安感を和らげるため、心地よい眠気を誘います。
しかし、アルコールの影響はあくまでも一時的なものに過ぎません。
飲み過ぎると逆に交感神経が活性化して体が興奮状態に陥り、眠りが浅くなって睡眠の質が低下する可能性が高くなります。
お酒を飲んで眠気を感じる人と、そうでない人の違いはどこにあるのでしょうか?
その差は、遺伝子タイプの違いにあります。
①アルコール(エタノール)は体内に入ると、肝臓で「ADH1B」という酵素によってアセトアルデヒドに分解されます。
②アセトアルデヒドには強い毒性がありますが、ALDH2という分解酵素の働きで無害な酢酸へと分解されます。
ADH1Bは、日本人の約7%が働きの弱い「低活性型」です。
低活性型の遺伝子をもつ人は翌日になってもお酒が残っていることが多く、アルコール依存症になりやすい傾向があります(※1)。
ALDH2は、日本人の約40%程度は「低活性型」、4%が全く働かない「不活性型」です(※2)。
ALDH2低活性型の人はビール1杯程度でも顔が赤くなり、不活性型の遺伝子をもつ人はお酒をまったく飲めない、もしくはわずかな量のお酒でも顔面紅潮や動悸、頭痛、そして眠気といった反応を起こします(※3)。
このことから、お酒を飲んで眠くなるのは「ADH1B低活性型」もしくは「ALDH2低活性型・不活性型」遺伝子タイプの人であると言えるでしょう。
※1:厚生労働省「e-ヘルスネット」1B型アルコール脱水素酵素
※2:林田真梨子, and 木下健司. "飲酒と健康: アルコール体質検査と飲酒の功罪." (2014): 2-10.
※3:吉原達也、笹栗俊之。「ALDH2遺伝子多型と臨床医学」(2012): 82-90.
アルコールにはリラックス感をもたらす作用があり、一時的な入眠促進効果が期待できます。
そのため、ストレスがたまっている人や、寝る前に考え事をして入眠に時間がかかりがちな人にとっては、寝る前の飲酒は寝つきやすくなることがメリットといえるでしょう。
また、少量の飲酒はストレス解消にもつながるため、忙しい日々の中で心をリセットする手助けになることもあります。
ただし、適量(たとえば日本酒1合、ビール中瓶1本程度)に留めることが重要です。
お酒を飲むと寝つきが良くなる一方で、眠りが浅くなるなどのデメリットもあります。
代表的な悪影響として、以下が挙げられます。
アルコールがアセトアルデヒドに分解されるのには、3~4時間程度かかります。
そのため、寝る前にお酒を飲むと睡眠中にアセトアルデヒドが生成されることになるのです。
アセトアルデヒドには覚醒作用があるため、寝ている途中で目が覚めたり、眠りが浅くなったりして睡眠全体の質が低下する原因となります(※)。
アルコールには強い利尿作用があります。
お酒を飲むとトイレが近くなるのは、そのせいなのです。
寝る前に飲んだ場合も同様で、寝ている間にトイレに行きたくなり、覚醒する回数が増えます。
また、尿の回数が増えると体内の水分量が減少し、血液の粘度が高くなります。
粘度が高いドロドロの血液は流れが悪く、心臓や脳の血管に血栓ができるリスクが上昇。
脳梗塞や心筋梗塞といった重篤な病気を発生させる原因となります。
寝る前のお酒を毎晩の習慣にすると、アルコールによる睡眠作用に体が慣れて、同じ量のお酒では寝つけなくなります。
入眠するためにお酒の量を増やすと、アルコール依存症へと発展する危険性も。
アルコール依存症はうつ病の合併率が高く、さらに不眠を悪化させます。
※:萱場桃子. "夏季の居住環境と睡眠に関する研究." (2014).
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今回は、睡眠とお酒の関係について詳しく解説しました。
アルコールは一時的に眠気を誘うものの、睡眠の質には大きな影響を及ぼします。
また、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を抱える人にとっては、アルコールが筋肉の緊張を緩め、呼吸障害を悪化させるリスクもあるため注意が必要です。
次の日に影響を与えないためにも、お酒を飲むのは就寝時刻の4時間前までにしましょう。
寝つきが悪くてお酒に頼ってしまう人は、眠りの質を高める成分が配合された睡眠サポートサプリを活用するのもおすすめです。