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眠りが浅い、すぐ起きる原因は?改善する方法をご紹介

最終更新日:2023.08.17

眠りが浅い、すぐ起きる原因は?改善する方法をご紹介

「朝までぐっすり眠れない」「すぐに起きる」「夢ばかり見る」「長めに寝たのに、仕事中に強い眠気を感じる」。毎日の睡眠に満足できていない人は、もしかすると眠りが浅いことが原因かもしれません。

今回は、眠りが浅い原因と改善法について、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら詳しく解説していきます。「最近、快眠感がない」という人は、眠りの質を高めるためにぜひ参考にしてくださいね。

この記事の執筆者

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

グリ-ンハウス株式会社

パーソナル睡眠アドバイザー/健康管理士一般指導員

小田 健史

「睡眠不足は万病の元」と言われるように、睡眠が不足すると体にも心にも様々な悪影響が出てきてしまいます。にもかかわらず、実は日本は世界で睡眠時間が最も短い国であるというのが現実です。
―睡眠の大切さを知っていただきたい―
睡眠アドバイザーとして、また健康管理士としての目線から睡眠に関する様々な情報をお届けします。

どうして眠りが浅いの?自律神経と関係がある?

どうして眠りが浅いの?自律神経と関係がある?

まずは、眠りが浅くなる原因についてみていきましょう。

私たちが眠りにつくと、浅い眠りである「レム睡眠」と、深い眠りである「ノンレム睡眠」の2つの睡眠状態が約90分のサイクルで交互に訪れます。それぞれの睡眠状態は異なる役割をもち、レム睡眠の時は主に身体をリラックスさせて、ノンレム睡眠では脳を休ませています。

最近はレム睡眠とノンレム睡眠の両方で夢を見る事が分かっていますが、ノンレム睡眠中に見た夢は記憶に残りにくいのに対して、レム睡眠中に見た夢は覚えていることが多いとされています。眠りが浅い時に「夢ばかり見る」と感じやすいのはそのためです。

眠ってから最初に訪れるのは、ノンレム睡眠の中でも「N3」や「ステージ4」、「徐波睡眠」と呼ばれる深い睡眠状態です。その後、レム睡眠と浅いノンレム睡眠が繰り返され、覚醒に向けてだんだんレム睡眠の割合が増加していきます。

「眠りが浅い」「ぐっすり眠れなかった」と睡眠に対して満足できないのは、最初のノンレム睡眠でN3(徐波睡眠)の深さまで到達できなかった場合です。寝つきが悪いと最初の深いノンレム睡眠がないために睡眠全体の規則性が失われ、浅い眠りとなります。

三島和夫. 眠りのメカニズム

三島和夫. 眠りのメカニズム. e-ヘルスネット
「図4: 夜間睡眠パターン 厚生労働省 (2021)」を基に作成

浅い眠りと自律神経の関係

自律神経には、交感神経と副交感神経の2種類があります。

日中は心拍数を増やしたり、血圧を上昇させたりと身体の動きを活性化させる交感神経が優位に働き、夕方以降は心拍数を減少させたり、血圧を低下させたりして身体をリラックスモードにする副交感神経が活発になります。この2つの自律神経がバランス良く切り替わることで、身体状態が健康に保たれているのです。

しかし、ストレスや悩みを抱えていたり、緊張状態が続いていたりすると、夜になっても交感神経が優位な状態が持続。交感神経の興奮作用で寝つきが悪くなると、たとえ眠れたとしても最初の深いノンレム睡眠まで到達できず、その夜の眠り全体が浅くなって睡眠の質が悪くなります。

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幸せホルモン「セロトニン」と浅い眠りの関係

幸せホルモン「セロトニン」と浅い眠りの関係

眠りが浅くなる原因には、“幸せホルモン”と呼ばれる神経伝達物質「セロトニン」の分泌量も深く関わっています。

セロトニンが減少すると、身体的には顔面の筋緊張低下によって顔のしまりがなくなる、背中が丸くなる、などの影響が表れます。精神的な影響としては、気分が滅入る、ストレスによってイライラ感や攻撃性、衝動性が高まるということが報告されています。

また、セロトニンは睡眠・覚醒レベルの調節や自律神経の調節にも作用。そのため、分泌量が低下すると良い睡眠がとれなくなり、昼夜に順応した覚醒レベルが調整できなくなります(※1)。

さらに、日中に分泌されたセロトニンは、夕方以降に脳の松果体という部分で生成される睡眠ホルモン「メラトニン」の原料となります。ぐっすり眠るためには、日中にセロトニンをしっかり分泌することが必要不可欠なのです。

それでは、セロトニンの分泌量を増やすのに効果的な方法を4つご紹介します。

セロトニンの分泌量を増やす方法

①起床してすぐに日光浴をする

朝起きてすぐに太陽光を浴びることで、セロトニンの分泌がスタートし、交感神経が活性化。体内時計もリセットされるため、体内リズムが整って夜になると眠気を感じやすくなります。

②一定のリズムを保って動く

規則正しい呼吸で行うリズミカルな運動は、セロトニンの分泌量を増やします。ウォーキングや歯磨き、食べ物の咀嚼などを一定のリズムで行うようにしましょう。腹式呼吸もセロトニン増加に効果的です。

③柑橘系のエッセンシャルオイルの香りを嗅ぐ

柑橘系のエッセンシャルオイルの香りを嗅ぐ

精油を使用するアロマテラピーにはリラックス効果やストレスを軽減する効果があり、生活にとり入れている人が少なくありません。ある実験では、オレンジスイート精油に多く含まれる成分・リモネンは、セロトニン分泌を増加させることを示唆しています(※2)。

また、別の実験ではレモンオイルが抗不安作用や抗うつ薬のような作用を有していることが示唆されました(※3)。

④セロトニンを増やす効果がある「睡眠サプリ」を活用する

睡眠サプリのほとんどに、セロトニンを増やす成分やリラックス成分が配合されています。睡眠薬とは異なり、ゆるやかに深い眠りへと導いて睡眠の質を高めてくれるでしょう。

※1:小西正良, and 吉田愛実. "セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境." 大阪河崎リハビリテーション大学紀要,(5) (2011): 11-20.

※2:惠良友彦, et al. "抑うつ状態に対するアロマセラピーを用いた介入研究の現状と課題." 福岡県立大学看護学研究紀要 17 (2020): 5-15.

※3:Komiya M, Takeuchi T, Harada E. Lemon oil vapor causes an anti-stress effect via modulating the 5-HT and DA activities in mice. Behav Brain Res. 2006 Sep 25;172(2):240-9. doi: 10.1016/j.bbr.2006.05.006. Epub 2006 Jun 15. PMID: 16780969.

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浅い眠りを改善する方法

浅い眠りを改善する方法

眠りが浅くなる原因には、セロトニンの分泌量低下以外に生活習慣が関係している場合があります。浅い眠りを改善するための対処法をみていきましょう。

①休日の前でも夜更かしはしない

眠りを深くしてぐっすり快眠するためには、規則正しい生活を送ることが大切です。

平日と休日で就寝時間や起床時間が2時間以上ずれると、体内時計が乱れて眠りが浅くなる要因に。生活サイクルを一定に保つためにも、休日の前だからといって夜更かしはせず、生活リズムを大きく変えないことが快眠への近道です。

②入浴は就寝2~3時間前に、ぬるめのお湯で

寝る2~3時間前に38℃前後のぬるめのお湯に浸かることで、副交感神経が優位に切り替わりやすくなります。お風呂場のライトを暖色系にすると、リラックス効果大!

③睡眠環境を快適に整える

寝室の温度や湿度、明るさ、騒音、寝具も眠りを浅くする要因となります。中でも温湿度による影響は大きく、寝具と人体と間にできる空間の温湿度を指す「寝床内気候」は、睡眠の質に大きな影響を与える要素です。寝床内気候の快適な範囲は32℃前後、湿度は50%前後とされています(※)。

※:水野一枝. "環境温湿度と睡眠." 睡眠口腔医学 2.2 (2016): 89-93.

眠りが浅い原因を知って効果的に改善しよう

眠りが浅い原因を知って効果的に改善しよう

眠りが浅く朝までぐっすり眠れない日が続くと、疲労感やストレスがどんどん蓄積していきます。たまった睡眠不足は「睡眠負債」と呼ばれ、糖尿病や高血圧、うつ病といった様々な病気や肥満の原因となる可能性があります。

夜中に目が覚めることが増えたり、イライラすることが多くなったり、体重増加が気になっている人は、眠りが浅くなっていないかチェックしてみてください。

もしも睡眠の質が悪くなって眠りが浅くなっている場合は、ご紹介したセロトニン分泌量を増やす方法や、朝までぐっすり眠るための対処法を実践してみましょう!

不規則になりがちな毎日でも、睡眠の質を高めて深い眠りにつく方法 >>詳しく見る

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