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高校生の理想の睡眠時間は何時間? | 受験生の睡眠時間と成績の関係

最終更新日:2024.12.2

高校生の理想の睡眠時間は何時間? | 受験生の睡眠時間と成績の関係

高校生になると、登校時間が早くなったり、塾や部活、アルバイトなどで帰宅時間が遅くなったりして、就寝時間が遅くなりがちです。

受験を前に、睡眠時間を削って勉強している高校生も少なくないでしょう。
しかし、睡眠不足は成績低下や心身の健康に悪影響を及ぼす大きな要因です。

そこで今回は、受験を控えた高校生にとって理想的な睡眠時間の長さや、睡眠時間と学力の関係性などについて、睡眠アドバイザーとしての知識を交えながら詳しく解説します。

睡眠に関する悩みをもつ高校生の皆さんや、子どもの睡眠時間が短いことが気になっている保護者の方に役立つ情報をお届けしますので、参考にしてくださいね。

パーソナル睡眠アドバイザー 健康管理士一般指導員 小田健史

この記事の執筆者

グリーンハウス株式会社

睡眠栄養指導士

小田 健史

健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!

<資格>
一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
 睡眠栄養指導士® 中級
 パーソナル睡眠アドバイザー®
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
 健康管理士 一般指導員

高校生の理想的な睡眠時間は何時間?どのくらい寝るのが最適?

米国睡眠医学会が推奨する13歳~18歳の青少年がとるべき睡眠時間は、8~10時間です。

しかし、理想的な睡眠時間の長さは個人によって異なります。6時間未満の短時間睡眠で十分に休息できるショートスリーパーもいれば、9時間以上の長時間睡眠が必要なロングスリーパーもいます。

これから挙げる症状が頻繁に起こる人は、自分にとって最適な長さの睡眠時間がとれていないかもしれません。

睡眠時間が足りない時に起こりやすい症状

①日中に強い眠気を感じる

睡眠時間が足りない、もしくは睡眠の質が悪い場合は日中に強い眠気を感じやすくなります。

日中の眠気のピークは午後2時頃とされ、睡眠時間が足りている人でも眠気を感じやすい時間帯です。

この時間帯以外で強い眠気が起こる場合は、睡眠時間が足りていない可能性が高いでしょう。

睡眠不足の高校生が多い?高校生の睡眠時間の実態は?どのくらい寝るのが最適?

②集中力が続かない

睡眠不足の状態では、集中力が散漫になりがちです。記憶力も低下するため、学習効率が悪くなります。

③イライラしやすい

睡眠時間の不足は、情緒不安定を引き起こす要因です。攻撃性が高くなり、イライラしやすくなります。

睡眠不足の高校生が多い?高校生の睡眠時間の実態は?どのくらい寝るのが最適?

睡眠不足の高校生が多い?高校生の睡眠時間の実態は?

高校生を対象にした睡眠と生活習慣に関する調査では、次の日に学校がある日の就寝時間は午後11時から午前0時より前が36.6%、午前0時から1時より前が31.2%でした。

学校がある日の起床時間については午前6時30分から7時より前が29.8%と最も多く、次いで午前6時から6時30分より前が23.4%で、高校生の理想的な睡眠時間である8時間から10時間にはほど遠い実態がうかがえます。

睡眠不足の高校生が多い?高校生の睡眠時間の実態は?どのくらい寝るのが最適?

高校生の多くが睡眠不足であることを示すように、授業中の眠気の有無についての質問に対して「よくある」「時々ある」と回答した生徒は、合計して78.5%にものぼりました(※)。

※平成26年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究」-睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査-

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

睡眠は休息だけでなく、記憶の整理や固定、ホルモンの分泌、疲労回復など健康的な心身を保つために大切な時間です。

アメリカの高校生を対象にした調査では、成績上位の生徒は7時間以上眠り、成績が下位の生徒は7時間以下しか眠っていなかったという結果が報告されています(※)。

※堀忠雄. "教育講演 夜型社会の睡眠問題." 生理心理学と精神生理学 31.2 (2013): 57-58.

睡眠不足が原因でもたらされる高校生の心身への影響

①学力低下

13~19歳の学生を対象にした調査で、睡眠時間が短い学生ほど学業成績が悪いという結果が明らかになりました。

さらに、睡眠健康が悪化している学生は欠席率が高いことや、夜間の勉強時間を確保するために夕方に仮眠をとる人ほど日中の眠気を強く感じる傾向があることも分かっています(※1)。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

②太りやすくなる

睡眠不足が続くと、肥満のリスクが高まります。
睡眠時間が足りないと、食欲を抑制するホルモン「レプチン」の分泌が減少し、逆に食欲を増進するホルモン「グレリン」の分泌量が増加します。

睡眠不足によってグレリンが分泌された場合、高カロリー・高脂質な食べ物への欲求が強くなるのが特徴です。

そのため、食べ過ぎとエネルギーの過剰摂取によって肥満化が進みます。

また、睡眠時間が短いと普段よりも甘みが強い食べ物を好む傾向があり、エネルギーの過剰摂取につながることが報告されています(※2)。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

③ニキビができやすくなる

睡眠には「自律神経」という、体内の様々な機能を自動的に調整する神経が関係しています。

自律神経には、日中の活動的な時に活性化する「交感神経」と、睡眠時やリラックスしている時に優位に働く「副交感神経」があります。

睡眠不足が慢性化すると、夜になっても交感神経が活発な状態が続きます。

交感神経には男性ホルモンを分泌させる作用があるため、男性ホルモンが増えて皮脂が過剰に分泌され、ニキビができやすい肌の状態になるのです。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

④身長が伸びにくくなる

身長の伸びに大切な役割を果たす成長ホルモンは、深い眠りであるノンレム睡眠の時に多く分泌されます。

睡眠時間が足りなかったり、睡眠の質が低い日が続いたりすると成長ホルモンの分泌量が低下して、身長が伸びにくくなる可能性が高くなります。

⑤風邪をひきやすくなる

睡眠不足になると、免疫力が低下して風邪やインフルエンザなどにかかりやすくなります。

また、睡眠不足は酸化ストレスの上昇を引き起こし、生活習慣病にかかるリスクを高めます。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

⑥抑うつ傾向が強くなる

寝不足は、メンタル面の不調を引き起こす大きな要因です。

睡眠不足になると、副腎皮質ホルモン「コルチゾール」の分泌量が過剰になります。

コルチゾールは、代謝の促進や免疫抑制作用がある、生命維持に欠かせないホルモンです。

コルチゾールは“ストレスホルモン”とも呼ばれ、ストレスを感じると交感神経を昂らせて体を緊張状態にしたり、血糖値を上昇させたりします。

さらに、コルチゾールは“幸せホルモン”と呼ばれる神経伝達物質・セロトニンの分泌を抑制する働きも。

そのため、ストレス負荷によってコルチゾールの分泌量が増加すると抑うつ傾向が強くなるのです。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

また、コルチゾールの分泌量は朝に増え、ノンレム睡眠時に分泌量が低下します。

寝不足になると睡眠リズムが乱れ、ノンレム睡眠の時間が短縮。コルチゾールの分泌量増加につながります。

※1:浅岡 章一,福田 一彦,山崎 勝男,子供と青年における睡眠パターンと睡眠問題,生理心理学と精神生理学,2007,25巻,1号,p.35-43

※2:Szczygiel EJ, Cho S, Tucker RM. Multiple Dimensions of Sweet Taste Perception Altered after Sleep Curtailment. Nutrients. 2019 Aug 27;11(9):2015. doi: 10.3390/nu11092015. PMID: 31461917; PMCID: PMC6770090.

睡眠の質を高めて成績アップを目指そう!学習効率を高める生活習慣

良質な睡眠は、記憶力や集中力を高めて成績アップにつながります。

眠りの質を高めるのに効果的な方法を実践して、学習力の向上や心身共に健康な高校生活を目指しましょう。

①休日に長時間の寝だめをしない

日頃の睡眠不足は「睡眠負債」として蓄積され、心身に様々な悪影響を及ぼします。

睡眠負債を解消するために起床時間を遅らせると、体内時計が後ろにずれて就寝時間も遅くなります。

翌日が平日の場合、前日の就寝時刻が遅いにもかかわらず起床時刻は通常通りのため、睡眠時間が足りず寝不足となるのです。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

こうした体内時計のずれは「社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)」と呼ばれ、健康リスクを高める原因になることが指摘されています(※)。

休日に寝だめをする場合は、平日と休日の起床時間を2時間以上ずらさないようにしましょう。

②毎朝同じ時間に起床し、起きたら太陽の光を浴びる

睡眠の質を高めるために大切なのが、規則正しい生活です。毎朝同じ時刻に目覚めることが、体内リズムを整える大切なポイントになります。

また、朝日を浴びると体内時計がリセットされ、自律神経が整いやすくなります。自律神経の乱れは、心身に悪影響を及ぼす大きな要因です。

思春期の高校生は、ただでさえ自律神経が乱れがち。規則正しい生活と太陽の光で自律神経のバランスを整えることが大事です。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

③試験前でも徹夜はしない

睡眠は、記憶の形成や保持に重要な役割を果たしています。

学習後に睡眠不足の状態になると、記憶した内容の定着を妨げる可能性があることが、実験により報告されています。 つまり、学習したことを脳に記憶させるためには睡眠が必要なのです。

学習効率を上げるためには徹夜で詰め込むのではなく、適切な睡眠時間を確保して朝型学習に切り替える方が、効率良く成績アップを目指せるでしょう。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

④ベッドや布団にスマホを持ちこまない

スマホの画面からは、強いエネルギーをもつブルーライトが出ています。

ブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制する作用があり、寝つきを悪くしたり、深い眠りを減少させたりして、睡眠の質を低下させます。

また、LINEなどによるメッセージの送受信やSNSのチェックなどを行うと脳が興奮状態となり、交感神経が昂って寝られなくなる要因に。

良質な睡眠を得るためには、就寝時間の2時間程度前からスマホやパソコンの使用を控えるのがポイントです。

※三島和夫. "社会的ジェットラグと睡眠." 学術の動向 24.8 (2019): 8_32-8_39.

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

適切な睡眠時間を確保して効率的に学力向上!

今回は、高校生に必要な睡眠時間の長さや睡眠不足による悪影響、眠りの質を向上させる生活習慣などについてお届けしました。

高校生になると将来に向けて具体的に考えたり、活動することが多くなったりします。

自分がイメージする未来に向けて行動するためには、良質な睡眠が欠かせません。

睡眠不足による身体や心の不調を感じたら、まずは生活リズムを毎日揃えるように気を付けてみませんか。

寝不足の高校生は成績が悪くなる?学力と睡眠の関係

睡眠の質を高める生活習慣を実践しても効果が得られない場合は、眠りの質を高める睡眠サプリを活用するのも有効です。 自分に合う方法で毎日ぐっすり熟睡して、悔いのない高校生活を送りましょう!

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