最終更新日:2024.12.03
「手足が冷えて眠れない」「寒くて夜中に目が覚める」「朝、なかなか起きられない」。
冬は、睡眠に関するトラブルが起こりやすい季節です。
睡眠の質が低下して朝起きられなかったり、日中に強い眠気を感じたりする人も多いでしょう。
そこで今回は、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜつつ、寒くて眠れない理由や、朝までぐっすり眠るための快眠法などについて解説します。
寒くなってよく眠れなくなったという人は、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
冬は手足が冷えやすいだけでなく、睡眠環境も悪化して寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしやすい季節です。
寒くて眠れなくなる主な原因を挙げていきます。
冷え性は女性に多い症状であり、眠りを妨げる大きな要因です。
ある調査によると、成人女性の63.6%が冷えを自覚し、特に冬の就寝前は冷えを感じやすいと回答しています(※1)。
手足の冷えで寝つきが悪くなる理由には、眠りのメカニズムが関係しています。
睡眠は、入眠前の30分程度前から手足から放熱が始まり、深部体温(内臓など体の内部の温度)が低下して誘発されます(※2)。
しかし、冷え性で手足が冷たい人は手足が温まらず放熱できないため、深部体温が低くなりません。
そのため、手足が冷たい人は寝つきが悪くなるのです(※3)。
WHO(世界保健機関)が推奨する冬の室温は、18℃以上です。
しかし、日本ではほとんどの地域で夜間の室温が18度を下回っています。
部屋の温度が低いと、布団のずれを直したり、寝姿勢を変えたりするといった覚醒を伴う動きが増えます。
また、寝返りをうつ度に布団内部の温かい空気が外へ逃げて、中途覚醒の回数が増加。睡眠の質が低下する要因となります。
自律神経は睡眠に深く関係していて、日中に働く交感神経から夕方以降のリラックスした時間に優位になる副交感神経へと切り替わることで、スムーズに就寝できます。
しかし、自律神経は生活習慣や環境の変化、ストレスなどで乱れやすいという一面があります。
冬場の室温と外気温の温度差も、自律神経がバランスを崩す大きな要因です。
自律神経が乱れると体調を崩しやすくなるだけでなく、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったり、冷え性を引き起こす要因にもなります。
メラトニンは“睡眠ホルモン”とも呼ばれ、眠気を起こさせたり、睡眠リズムを調節したりするホルモンです。
メラトニンは、“幸せホルモン”とも呼ばれる脳内物質・セロトニンから生成されます。
セロトニンは、起きてすぐに朝日を浴びることで分泌が始まりますが、冬は太陽の光が弱く日照時間が短いため、分泌量が減少傾向になります。
するとメラトニンの分泌量も少なくなって、睡眠の質が低下するのです。
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冬は、寝違えやこむら返りが起こりやすくなります。
こむら返りとは足がつる症状で、起こりやすい時間帯は気温が下がる明け方です。
冬にこむら返りや寝違えが起きやすい原因として、寒さによる血行不良や運動不足、水分・ミネラル不足などが考えられます。
※1:今井美和, et al. "成人女性の冷えの自覚とその要因についての検討." 石川看護雑誌 4 (2007): 55-64.
※3:内山 真, 降籏 隆二, ヒトの体温調節と睡眠, 日本温泉気候物理医学会雑誌, 2014-2015, 78巻,1号,p.6-9.
冬に起きる睡眠トラブルは、不眠だけではありません。
「冬季うつ病」の場合、寝すぎてしまう過眠症状を引き起こすケースがあります。
■冬季うつ病とは
「季節性うつ病」の一つで、日照時間が短い冬に気分の落ち込みや社会性の低下といったうつ症状がみられます。
うつ病では睡眠障害を併発することが多く、その多くは不眠症状です。
しかし、冬季うつ病の患者には過眠の症状が多く表れるという特徴があります(※)。
寒くて眠れない日が多い人は、これからご紹介する快眠法を試してみませんか?
簡単にできる方法ばかりですので、すぐに実践して冬場の睡眠の質を向上させましょう!
WHO(世界保健機関)が推奨する冬の室温である18℃以上になるよう、寝る前にエアコンなどで部屋を暖めましょう。
エアコンによる乾燥対策として、加湿器や濡れタオルで適度な湿度を保つこともお忘れなく。
布団やベッドの中の温度も、睡眠の質を左右する大切な要素です。
快適に眠れる寝床内の気候条件は、温度32℃~34℃、相対湿度45%~55%であるという調査結果が報告されています(※1)。
また、あんかや電気毛布類などで寝床を温めると、入眠を促す効果があると考えられる実験結果もあります(※2)。
寝る前にあんかや電気毛布などで布団を温めたら、低温やけどを防ぐため布団の外へ出してから就寝しましょう。
睡眠の質に関係しているのは、寝室の温度だけではありません。
就寝前に過ごすリビングなどの室温も、睡眠の質を左右する要因であることが調査によって明らかになりました。
調査では、就寝前に過ごした部屋の温度と夜間尿の回数の関連について検証。
その結果、就寝前に過ごす部屋の室温が低いほど、夜間尿の回数が多いことが分かりました(※3)。
夜間頻尿は中途覚醒の原因であり、睡眠の質を低下させる要因です。
中途覚醒を防ぐためにも、就寝前は温かい部屋で過ごすことをおすすめします。
睡眠ホルモン・メラトニンの原料であるセロトニンを生成するのに欠かせないのが、必須アミノ酸のトリプトファンです。
トリプトファンはビタミンB6と結びついて、セロトニンを作り出します。
トリプトファンとビタミンB6の両方を含む食べ物の代表例が、バナナです。
また、チーズやヨーグルトといった乳製品、マグロなどの赤身、レバーにも含まれています。
冬は活動量が低下して運動不足になり、睡眠の質に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、冬は夏よりも屋外で過ごす時間が短くなる傾向にあることも明らかになりました(※4)。
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は体に適度な疲労感を与え、快眠をもたらします。
朝日を浴びるとセロトニンの分泌量増加につながるため、無理のない範囲で朝の運動を習慣化しましょう。
※1,2:梁瀬度子. "睡眠と環境 季節による寝床気候と睡眠経過."The Annals of physiological anthropology 4.4 (1985): 331-333.
今回は、寒くて眠れない理由や冬の睡眠の質が低下する原因、冬におすすめの快眠法などをご紹介しました。
良質な眠りは免疫力の向上にもつながります。
風邪やインフルエンザなどにかからないためにも、睡眠の質を上げましょう。
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