最終更新日:2024.2.8
目覚まし時計やスマホのアラーム音で一度は起きたものの、音を止めて再び寝てしまう…。二度寝は、きっと誰もが経験したことがあるでしょう。また、「二度寝は普通の睡眠よりも幸せな気分で眠れる」という人も多いのでは?
今回は、二度寝してしまう原因と対策法、二度寝がもたらす健康へのメリットとデメリットについて、睡眠アドバイザーとしての知識を盛り込みつつお届けします。
毎朝のように二度寝をしてしまうという人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
遅刻すると分かっていながらも、なかなかやめられないのが二度寝。目覚まし時計やスマホのアラーム音でスッキリ起きられるのが理想ですが、実際には眠い目をこすりながら、しぶしぶ寝床から出るという人が多いのではないでしょうか?
二度寝してしまうのには、寝不足以外にも原因があります。
睡眠のサイクルは、浅い眠りであるレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠を90分単位で繰り返しています。ノンレム睡眠は深さによってステージ1~4、あるいはN1・N2・N3の段階に分けられ、深い眠りであるステージ3・4(N3)は「徐波睡眠(じょはすいみん)」とも呼ばれます。
徐波睡眠は睡眠の前半で見られ、体温も低下。そして、明け方に向けて浅い眠りが増加するとともに体温も上昇し、自然な目覚めに向けて身体が準備を始めるのです。
しかし、様々な要因によって睡眠サイクルが乱れ、徐波睡眠時や体温最低期のタイミングで起きなければいけない場合、目覚めても強い眠気を感じる「睡眠慣性」が生じやすくなります(※1)。
二度寝は、この睡眠慣性の影響によるものであると考えられ、起床後30分間は睡眠慣性が強いことが分かっています(※2)。
睡眠慣性を強くする主な原因として考えられるのが、
の4つです。
二度寝をしてしまう人の中には「7時間以上寝たのに二度寝してしまう」という人がいるかもしれません。
その場合に考えられるのは、睡眠の質が低下しているということです。睡眠は、長さだけではなく質が大切。ちゃんと寝ているのに二度寝して起きられない人は、良質な睡眠を得られていない可能性があるでしょう。
※2:林光緒. "居眠り運転発生の生理的メカニズム." IATSS review 38.1 (2013).
「しっかり寝たはずなのに眠い…」睡眠に悩む人必見!深いノンレム睡眠を増やし、眠りの質を改善する方法 >>詳しく見る
二度寝をした後はスッキリ起きられると感じたことがある人も多いのではないでしょうか?その理由は、二度寝をしている時に分泌されるホルモン「コルチゾール」が関係していると考えられます。
コルチゾールは「抗ストレスホルモン」とも呼ばれ、糖の代謝や抗炎症作用など重要な役割を担っている存在です。コルチゾールは起床時間の前から徐々に分泌量が増加し、血圧と血糖値を上げて体が目覚める準備を始めます。
コルチゾールの分泌量は起床後30分以内に50%~75%増加し、1日の最大量となります。5分~10分程度の二度寝をするとコルチゾールの分泌時間が長くなり、身体が目覚めやすい状態になったタイミングで起床できるため、スッキリと起きられるのです(※)。
「二度寝の時間は通常の眠りよりも幸福感に満たされる」という人も少なくないでしょう。それは、二度寝をしている間に脳から幸せな気分を感じさせる脳内麻薬の1種「エンドルフィン」が分泌されているためとも言われています。
しかし、幸福感に長い時間浸っていたいと思っても、15分以上の二度寝は再び深い眠りに入ってしまう可能性があります。そうなると余計に起きるのが辛くなるため、二度寝は5分~10分程度を1度きりにしておきましょう。
「二度寝は体に悪い」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。本当のところ、二度寝は身体にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?二度寝によるデメリットについて解説します。
毎朝のように二度寝をしていると、体内時計に乱れが生じます。体内時計は目覚めてすぐに太陽光を浴びることでリセットされますが、二度寝をすると目覚めてから光を浴びるまでに時間差が発生し、体内時計がリセットされないまま1日がスタート。そこに朝食の欠食が重なると、体内時計が乱れたまま1日を過ごすことになります。
体内時計は自律神経の働きにも影響を与えているため、体内時計が狂うことで自律神経もバランスを崩し、だるさや疲れ、めまい、便通異常といった全身への悪影響が出てきます。
自律神経が乱れると睡眠にも影響を及ぼし、睡眠の質が悪くなる要因に。質が低い睡眠のせいで熟眠感が得られず、ますます二度寝を繰り返してしまうといった悪循環に陥ってしまうかもしれません。
体内時計や自律神経の乱れにより睡眠の質が低下していると、成長ホルモンの分泌量が減少します。
成長ホルモンが十分に分泌されないことで、肌の生まれ変わりである「ターンオーバー」が上手くいかなくなったり、皮脂の過剰な分泌によってニキビができやすくなったり、逆に乾燥しやすくなってシワが増えたりと肌に深刻な悪影響が出てきます。
二度寝をすると、朝の支度をバタバタとすることになり、つい朝食を抜きがちに。
しかし、朝食抜きによる身体への影響は大きく、血糖の低下による倦怠感やエネルギー欠乏による運動機能の低下、食べ物からのビタミンが摂取できないためのビタミン不足による身体的疲労や免疫力低下など様々です(※1)。
朝食を食べないと太りやすくなることが指摘されています。
朝食の欠食が昼食後の血糖値に及ぼす影響について検証した結果、朝食を抜いた場合、昼食後の血糖上昇が顕著であったことが分かりました(※2)。
血糖値が急上昇すると、血糖値を下げる作用があるインスリンというホルモンが多量に分泌されます。インスリンには血液中の糖を脂肪に変えて身体にため込むという特徴があるため、肥満を招きやすくなるのです。
また、食後の急激な血糖値の上昇・下降は「血糖値スパイク」と呼ばれ、血管が傷つく原因に。動脈硬化を引き起こして、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクを高める要因となります。
※1:戎利光. "健康科学講座-朝食抜きや過激なダイエットによる悪影響." 福井大学教育学部総合自然教育センター年報 2 (1999): 54-57.
※2:Hayashi, Shiori, et al. "昼食後血糖に及ぼす朝食の影響.
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二度寝にはメリットもデメリットもありますが、健康のためにも平日の二度寝は避けた方が良さそうです。そこで、すぐに実践できる二度寝をしないための対策法をご紹介します。
朝、なかなか起きられなくて困っている人は、ぜひ実践してみてくださいね。
カーテンのすき間から朝日が差し込むことで、少しずつ網膜に光が届いて目が覚めやすくなります。起床したら、すぐにカーテンを全開にして朝日を浴びましょう。
冬場にベッドや布団から出たくない理由の一つに、部屋の寒さがあります。起床時間の30分前くらいにエアコンのタイマーをセットしておけば、暖かい部屋で目覚められます。
目が覚めたら、手のひらをグーパーしたり、足をバタバタさせたりすると血行が良くなって身体が目覚めやすくなります。
声を出すと脳に刺激が与えられて、覚醒しやすくなります。
横たわったまま目覚まし時計を止めると、そのまま二度寝してしまう可能性も。うっかり二度寝を防ぐためにも、目覚ましは寝床から出ないと止められない位置に置いて寝ましょう。
今回は、二度寝の原因やメリット・デメリット、予防法をご紹介しました。
二度寝をすることが多い人は、不規則な生活で起床・就寝時間や食事の時間がバラバラになっていませんか?もしそうであれば、1日のリズムを整えることを心掛けてみましょう。
生活リズムを変えることが難しい人は、睡眠の質を向上させる成分が配合されたサプリメントを活用するのもおすすめです。自分の生活に合った方法で、良質な眠りを手に入れてくださいね。
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