最終更新日:2024.12.20
目覚まし時計やスマホのアラームが鳴っても起きられず、つい再び眠ってしまう…。
二度寝は、きっと誰もが経験したことがあるでしょう。
しかし、平日に二度寝をすると遅刻の原因となり、その日一日のリズムが崩れる原因となります。
そこで今回は、二度寝してしまう原因と対策法、二度寝がもたらす健康へのメリットとデメリットなどについて、睡眠アドバイザーとしての知識を盛り込みつつお届けします。
二度寝がやめられなくて困っている人は、ぜひ参考にしてくださいね。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
二度寝をする原因は「睡眠慣性」の影響によるものであると考えられています。
睡眠慣性とは、起床直後の眠気や疲労感が残る現象のことです。
睡眠慣性が強くなる主な要因に、以下の4つが挙げられます。
睡眠慣性が強くなる主な原因
また、睡眠慣性が生じる原因に睡眠サイクルの乱れが関係しています。
私たちは眠っている間、浅い眠りの「レム睡眠」と深い眠りの「ノンレム睡眠」という2種類の睡眠状態を90分単位で交互に繰り返しています。
ノンレム睡眠は深さによってステージ1~4、あるいはN1・N2・N3の段階に分けられ、深い眠りであるステージ3・4(N3)は「徐波睡眠(じょはすいみん)」とも呼ばれます。
徐波睡眠は、就寝後すぐのタイミングで表れて体温も低下させます。
そして、明け方に向けて浅い眠りが増加するとともに体温も上昇。
自然な目覚めに向けて身体が準備を始めるのです。
しかし、就寝時刻の遅れや自律神経の乱れなど様々な要因によって睡眠サイクルが乱れると、体が目覚める準備ができていないタイミングで起床しなければいけません。
徐波睡眠時や体温最低期に起床した場合、目覚めても強い眠気を感じる「睡眠慣性」が生じやすくなります(※1)。
二度寝は、この睡眠慣性の影響によるものであると考えられ、起床後30分間は睡眠慣性が強いことが分かっています(※2)。
※2:林光緒. "居眠り運転発生の生理的メカニズム." IATSS review 38.1 (2013).
「二度寝は体によくない」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
本当のところ、二度寝は身体にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?
次は、二度寝によるデメリットについて解説します。
毎朝のように二度寝をしていると、体内時計に乱れが生じます。
通常は目覚めてすぐに太陽光を浴びることで体内時計がリセットされます。
しかし、二度寝をすると目覚めてから光を浴びるまでに時間差が発生し、体内時計がリセットされないまま1日がスタート。
そこに朝食の欠食が重なると、体内時計が乱れたまま1日を過ごすことになります。
体内時計は自律神経の働きにも影響を与えているため、体内時計が狂うことで>自律神経もバランスを崩し、だるさや疲れ、めまい、便通異常といった全身への悪影響が出てきます。
自律神経が乱れると睡眠にも影響を及ぼし、睡眠の質が悪くなる要因に。
質が低い睡眠のせいで熟眠感が得られず、毎朝のように二度寝を繰り返すといった悪循環に陥ってしまうかもしれません。
体内時計が乱れるとセロトニンの分泌量が減少して不眠に!? 手軽に睡眠の質を高めるコツは?>>詳しく見る
睡眠の質が低下すると成長ホルモンの分泌量が減少します。
成長ホルモンの分泌量が少なくなると、肌が生まれ変わる仕組みであるターンオーバーのサイクルが乱れてシミやくすみを引き起こします。
また、皮脂が過剰に分泌されることでニキビができやすくなったり、逆に乾燥しやすくなってシワが増えたりと肌に深刻な悪影響が出てきます。
二度寝をすると、当然ながら朝の準備時間が減って、朝食を食べる時間がなくなります。
朝食を抜くと、体に様々な影響が表れます。
・血糖の低下による倦怠感やエネルギー欠乏による運動機能の低下
・ビタミン不足による身体的疲労や免疫力低下(※)
また、朝食を食べないと太りやすくなったり、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが上昇したりすることが分かっています。
このような疾患のリスクを高める大きな要因が、血糖値の急激な変動です。
※戎利光. "健康科学講座-朝食抜きや過激なダイエットによる悪影響." 福井大学教育学部総合自然教育センター年報 2 (1999): 54-57.
血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖の濃度を指し、食後に上昇します。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、摂取した糖分をエネルギーへと変換。
この働きによって、血糖値は一定の範囲内に抑制されます。
「血糖値スパイク」とは、血糖値の急激な上昇と下降によって引き起こされる現象で、血管が傷つく大きな要因です。
朝食を抜くと、前日の夕食からその日の昼食時間まで何も食べない時間が続くため、血糖値が下がった状態になります。
低血糖の状態から昼食を食べると血糖値が急上昇し、血糖値スパイクが起こりやすくなるのです。
血糖値スパイクが繰り返し起こると動脈硬化が引き起こされ、心筋梗塞や脳梗塞など重篤な疾患の発症リスクが上昇します。
二度寝にはデメリットだけでなく、メリットもあります。
朝の時間に余裕がある時には、二度寝をしてメリットを享受するのもおすすめです。
二度寝をした後はスッキリ起きられると感じたことがある人も多いのではないでしょうか?
それは、二度寝の時に「コルチゾール」というホルモンが分泌されることと関係しています。
コルチゾールとは?
糖の代謝や抗炎症作用など重要な役割を担っているホルモンです。
ストレスを感じると交感神経を活性化させて、体を緊張状態にして脳を覚醒させ、ストレスに抵抗できるように備えます。
しかし、慢性的にストレスが蓄積するとコルチゾールの過剰分泌が続き、肥満やうつ病、不眠症などを引き起こします。
コルチゾールは起床時間の前から徐々に分泌量が増加し、血圧と血糖値を上昇させます。
そうして体が目覚める準備を整えるのです。
コルチゾールの分泌量がピークとなるのは、起床後30分以内。
分泌量は50%~75%増加し、1日の最大量となります。
5分~10分程度の二度寝をするとコルチゾールの分泌時間が長くなり、身体が目覚めやすい状態になったタイミングで起床できるため、スッキリと起きられるのです(※)。
「二度寝の時間は通常の眠りよりも幸福感に満たされる」という人も少なくないでしょう。
それは、二度寝をしている間に脳から幸せな気分を感じさせる脳内麻薬の1種「エンドルフィン」が分泌されているためとも言われています。
しかし、15分以上の二度寝は再び深い眠りに入ってしまう可能性があります。
すると睡眠サイクルが乱れて起きるのが辛くなるため、二度寝をする場合は5分~10分程度を1度きりにしましょう。
遅刻や睡眠サイクルの乱さないために、二度寝を防ぐ効果的な方法をご紹介します。
簡単に実践できる方法ばかりですので、朝起きられなくて困っている人は試してみてくださいね。
カーテンのすき間から朝日が差し込むことで、少しずつ網膜に光が届いて目が覚めやすくなります。
起床したら、すぐにカーテンを全開にして朝日を浴びましょう。
冬場にベッドや布団から出たくない理由の一つに、部屋の寒さがあります。
起床時間の30分前くらいにエアコンのタイマーをセットしておけば、暖かい部屋で目覚められます。
目が覚めたら、手のひらをグーパーしたり、足をバタバタさせたりすると血行が良くなって身体が目覚めやすくなります。
声を出すと脳に刺激が与えられて、覚醒しやすくなります。
横たわったまま目覚まし時計を止めると、そのまま二度寝してしまう可能性も。
うっかり二度寝を防ぐためにも、目覚ましは寝床から出ないと止められない位置に置いて寝ましょう。
今回は、二度寝してしまう原因やメリット・デメリット、予防法をご紹介しました。
二度寝がやめられない人は、睡眠の質が低下しているかもしれません。
眠りの質が悪くなる原因の一つが、不規則な生活リズムです。
生活リズムが安定しないことで体内時計が狂い、自律神経がバランスを崩して寝つけなくなったり、眠りが浅くなったりします。
睡眠の質を高めるためにも、できるだけ毎日の生活リズムを整えるように心掛けてみませんか。
とはいえ、仕事の関係などで生活リズムを変えることが難しい人も多いでしょう。
その場合は、睡眠の質を向上させる成分が配合されたサプリメントを活用するのもおすすめです。
自分に合う方法で眠りの質を高めて、二度寝を防いでくださいね。
手間をかけずに睡眠の質を高める方法は?眠りの質を向上させる成分を厳選配合した睡眠サプリ!人気の理由は? >>詳しく見る