最終更新日:2023.10.16
「夜にしっかり睡眠時間をとっているのに、昼間ずっと眠い」「気付くと仕事中に寝落ちしている」。寝不足ではないにもかかわらず日中に過度な眠気が出現する原因は、睡眠障害の一つ「過眠症」かもしれません。
そこで今回は「過眠症」について、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら、過眠症の種類や特徴、症状、治し方などについてお伝えします。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
過眠症とは、夜に十分な睡眠をとっているにもかかわらず、日中に強い眠気を感じる疾患の総称です。不眠症よりも発症頻度は低いものの、昼間に過度な眠気を感じることで運転や高所作業をする際に危険性が生じたり、仕事や勉強の効率が著しく低下したりと生活の質に大きな影響を与えます。
過眠症は大きく「二次性過眠症」と「中枢性過眠症(一次性過眠症)」の2種類に分類され、中枢性過眠症の中でさらに数種類の疾患があります。
中枢性過眠症の代表的な疾患は、ナルコレプシーや特発性過眠症、そして非常に稀な病気である反復性過眠症(クライネ・レビン症候群)です。
疾患名 | 症状の主な特徴 |
---|---|
ナルコレプシー | 耐え難い程の眠気が出現し、通常では考えられないような場所や状況でも居眠りをしてしまう。感情の大きな変化によって全身の力が抜ける情動性脱力発作がある。 |
特発性過眠症 | 一日を通して眠気を感じるが、ナルコレプシーほど強くはない。居眠りした場合は1時間以上の長時間に及び、目が覚めてもすっきりせずに頭がぼんやりすることが多い。 | 反復性過眠症 (クライネ・レビン症候群) |
3日から3週間程度にわたって続く過剰な眠気と長時間の睡眠によって日常生活に困難をきたし、認知力や活動力が低下する。眠気が強い時期とそうでない時期を繰り返す。 |
また、睡眠の質に影響を与える疾患にかかっていたり、眠気を感じさせる薬を服用していたりすることで日中に強い眠気が発生する場合も少なくありません。
疾患の影響で昼間に眠気がひどくなる場合は、夜間の睡眠不足や睡眠の質の低下など原因が明らかであるため、過眠症とは診断されません。
睡眠の質を低下させる可能性が高い疾患
ほかにも睡眠環境の悪化やストレスの蓄積、アルコールやカフェイン摂取によっても夜間の眠りが妨げられ、日中に強い眠気を感じやすくなります。
不規則になりがちな毎日でも、睡眠の質を高めて深い眠りにつく方法 >>詳しく見る
過眠症は、種類によって発症原因が異なることが分かっています。
過眠症の種類 | 発症原因 |
---|---|
中枢性過眠症(一次性過眠症) ・ナルコレプシー ・特発性過眠症 ・反復性過眠症(クライネ-レビン症候群) |
睡眠-覚醒の調節機能に問題があると考えられる。 |
二次性過眠症 | 夜間の睡眠の質が低下することで日中に強い眠気が生じる。 |
特発性過眠症や反復性過眠症(クライネ・レビン症候群)の発症原因は明らかになっていません。しかし、ナルコレプシーについては「オレキシン」という神経伝達物質が不足することで引き起こされることが、近年の研究で明らかになっています。
過眠症の診断は、睡眠不足や睡眠の質を低下させる原因がないかを調べた後に、睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行って夜間睡眠中の脳波やレム睡眠の割合などを確認します。その後、(MSLT)という精密検査によって、昼間の眠気を客観的に評価。その結果、ナルコレプシーなどの中枢性過眠症と診断された場合は治療へと移ります。
過眠症の多くは治療方法が確立していないため、薬物療法や医師による生活指導が中心です。
いずれにしても自己診断は避け、思い当たる過眠症状がある場合は睡眠外来がある医療機関を受診しましょう。
日中にひどい眠気を感じる場合、その多くは睡眠時間の不足や睡眠の質が低下していることが原因です。
十分な睡眠時間をとることはもちろん、規則正しい毎日を送ることやカフェイン・アルコールの摂取を控えること、禁煙することが睡眠の質を向上させます。良質な睡眠を得られれば、日中の過度な眠気も改善されるでしょう。
眠りの質を良くする生活習慣の実践とともに、睡眠の質を高める作用がある栄養素を含んだ食べ物を積極的に食べるのも効果的です。食べ物から摂取することが難しい人は、サプリメントを活用してみてはいかが。
睡眠の質を高める生活習慣を実践しても日中に強い眠気を感じることが3カ月以上続く場合は、睡眠専門医に相談することをおすすめします。
セロトニンを増やし睡眠の質を高める睡眠サプリで、ぐっすり熟睡体験 >>詳しく見る