最終更新日:2023.10.13
日中に強い眠気を感じて仕事や勉強に集中できなかったり、つい居眠りしてしまったりした経験はありませんか。特に午後1時から午後3時頃にかけては眠気が強くなる時間帯であり、作業効率が低下しがちです。
午後に眠気を感じるのは誰にでもあることですが、一日中眠たい場合には、夜間の睡眠時間が不足している可能性や睡眠の質の低下による影響が考えられます。夜に睡眠時間をしっかり確保しているにもかかわらず、昼間に強い眠気を感じる人は「特発性過眠症」かもしれません。
今回は過眠症の一つである「特発性過眠症」について、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら、症状の特徴や原因、対策法について解説したいと思います。
日中の眠気に悩んでいる人は、当てはまる症状がないかチェックしてみましょう。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
特発性過眠症は、睡眠障害のうちの中枢性過眠症に分類される病気です。
特発性過眠症の特徴的な症状として、夜間に十分な睡眠をとっているにも関わらず、日中に過度の眠気が続くことが挙げられます。
眠気の度合いは、同じ中枢性過眠症に分類されるナルコレプシーほど強烈なものではなく、我慢できる程度です。しかし、居眠りをした場合はナルコレプシーよりも長時間になることが多く、1時間近く寝てしまうことがあります(※1)。
また、ナルコレプシーの場合、数分から数十分居眠りした後はスッキリと目が覚めて爽快感が得られますが、特発性過眠症の人は居眠りした後もスッキリせず、リフレッシュ効果が得られません。居眠り後も、眠気が続くことが珍しくないでしょう(※2)。
特発性過眠症の人は夜間の睡眠時間も長い傾向があり、10時間以上にわたって眠り続けることが少なくありません。目覚めが悪く、睡眠酩酊と呼ばれる頭がぼんやりとした状態が続きやすいのが特徴です(※3)。
上記のような症状が3カ月以上続く場合は、特発性過眠症の疑いがあります。
同じように睡眠時間が長い「長時間睡眠者(ロングスリーパー)」との違いは、ロングスリーパーは本人にとっての適切な睡眠時間(10時間以上)をとれている場合は、日中に過度な眠気を感じることがないという点です。
特発性過眠症 | ナルコレプシー | ロングスリーパー | |
---|---|---|---|
夜の睡眠時間 | 10時間以上 ※長時間の睡眠時間を必要としない場合もあり |
7時間~9時間程度の正常範囲 | 10時間以上 |
夜に適切な睡眠時間をとった場合の日中の眠気 | 1日を通して持続的にあり ※ナルコレプシーよりも弱い |
場所や状況に関係なく耐えがたい程の眠気が1日に何度も表れる | なし |
居眠りの時間 | 1時間以上 | 30分以内 | 20分以内 |
居眠り後の眠気 | 爽快感が得られず眠気が持続する | 一時的に爽快感が得られる | 爽快感が得られる |
昼間に強い眠気を感じる原因には、睡眠不足や睡眠の質の低下だけでなく、特発性過眠症やナルコレプシーなど睡眠障害に起因するもの、ロングスリーパーのように体質が関係している場合など様々です。日中の活動に支障をきたすほどの眠気が慢性的にある場合は、医療機関に相談することをおすすめします。
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特発性過眠症になる原因は、はっきりと分かっていません。しかし、研究によって概日リズムの機能障害が発症に関係している可能性が示唆されています(※)。
特発性過眠症は発症原因が分からないため、確実な治療法はありません。ほとんどの場合、薬物による対症療法が中心です。また、医師による生活指導で夜間の睡眠の質を良くすることで、日中の眠気を軽減できる効果が期待できるでしょう。
特発性過眠症は長期にわたって続く病気とされていますが、自然に治る場合もあるとされています。いずれにしても、服薬や質が高い睡眠を得るための生活習慣などを根気よく続けることが大切です。
日中に強い眠気を感じる「特発性過眠症」は、同じ過眠症のナルコレプシーに比べて発症頻度が低いため、分からない部分が多い病気です。
しかし、毎日の生活リズムを一定にしたり、睡眠時間を十分に確保したり、睡眠環境を整えるなど良質な眠りをとることが昼間の眠気対策に有効な場合もあります。不規則な毎日や睡眠不足が続いている人は、生活リズムを見直してみませんか。
また、眠りの質を高める栄養素を摂取するのもおすすめです。睡眠ホルモンの「メラトニン」の原料となるセロトニンを生成するために必要なトリプトファン、ストレス緩和効果がある成分・GABAを含んだ食べ物やサプリメントなどから、効率よく摂り入れましょう。
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