最終更新日:2023.12.18
忙しい日々を送っていると、1日があっという間に終わってしまいませんか?ひたすら時間に追われて、やりたいこと・やるべきことにまで手が回らない毎日…。
そんな時、「睡眠時間が短くても大丈夫な体質の『ショートスリーパー』になれたらいいのに」と思ったことがある人もいるのではないでしょうか。寝る時間が短時間で済むショートスリーパーなら、時間をもっと有効に使えそうな気がしますよね。
そこで今回は、睡眠アドバイザーとしての知識を織り交ぜながら、ショートスリーパーの特徴や、睡眠時間が短いことで知られる偉人たちなどをご紹介します。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
ショートスリーパー(短時間睡眠者)とは、1日の睡眠時間が6時間未満でも日中に強い眠気を感じることや集中力の低下、疲労感などがなく、健康な状態で過ごせる人のことです。 逆に、10時間以上眠らないと睡眠不足を感じる人は「ロングスリーパー」、睡眠時間が6~10時間の人を「バリアブルスリーパー」と呼びます。
日本人のショートスリーパーは5~8%、ロングスリーパーは3~9%、バリアブルスリーパーは80~90%存在するとされ、大半の人は睡眠時間の長さを調整しやすい「バリアブルスリーパー」です。
眠りのタイプによって性格にも違いがあり、ショートスリーパーの人は外向的であまりくよくよしない性格。ロングスリーパーの人は内向型で生真面目、自分の行動を反省することが多い傾向があるとの報告があります(※)。
※:鳥居鎮夫. "2. 眠りの科学." 繊維製品消費科学 36.10 (1995): 623-628.
ショートスリーパーであるかそうでないかは、ある遺伝子の変異が深く関係していることが分かっています。
2019年に米カリフォルニア大学のYing He氏らが3世代にわたってショートスリーパーが存在する家族のDNAを調べて比較したところ、ショートスリーパーはβ1アドレナリン受容体遺伝子(ADRB1)に変異があることを発見しました(※1)。
また、ペンシルベニア大学で行われた100組の双子を比較した研究では、BHLHE41遺伝子のp.Tyr362His変異体を持つ双子は、その遺伝子を持たない双子の兄弟よりも1時間以上睡眠時間が短いことが明らかになっています(※2)。
この研究により、ショートスリーパーは睡眠時間が短くても、ノンレム睡眠の量が相対的に維持されているだけでなく、長時間睡眠者よりも夜間の血中メラトニン(睡眠を促すホルモン)の上昇が早く止まり、朝のコルチゾール(血糖値と血圧を上昇させて身体を目覚めさせる作用があるホルモン)が早く増加することが判明しました(※2)。
以上の研究結果から、ショートスリーパーの人は短い睡眠時間の中で深い眠りにつき、朝はスッキリと目覚められるため、睡眠不足の人が感じるような疲れや倦怠感を覚えたり、集中力の低下を感じたりすることがなく健康的な毎日を過ごせていると考えられます。
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歴史に名を遺す偉人の中にも、ショートスリーパーが存在します。代表的なショートスリーパーの偉人と、その逸話をご紹介します。
※すべて諸説あります
ナポレオン・ボナパルト…3時間
レオナルド・ダ・ヴィンチ…90分
トーマス・エジソン…4時間
野口英世…3時間
手塚治虫…3~4時間
ショートスリーパーは遺伝子の変異によるものであり、トレーニングなどでなれるものではありません。しかし、睡眠の質を上げることで寝る時間を減らせる可能性はあるでしょう。
睡眠の質が低下していると寝ても疲れがとれないため、「もっと長く眠らなければいけない」と、眠気を感じていないにも関わらず寝床で長い時間を過ごすことで、余計に睡眠の質を悪くするという悪循環に陥りがちです。
睡眠で大切なのは、長さよりも質。日本人の大部分は、睡眠時間が6~10時間と変動性があるバリアブルスリーパーであるため、眠りの質を上げれば今よりも睡眠時間を短くすることは不可能なことではありません。
そのためには、まず自分にとって最適な睡眠時間の長さを見つけることが肝心です。
最適な睡眠時間の目安として、厚生労働省健康局が公表した「健康づくりのための睡眠指針2014」では「年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を」と述べています。
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ショートスリーパーの特徴や偉人たちについて、ご紹介しました。短い睡眠時間でも何の問題もなく過ごせる人は、ごく少数です。ほとんどの人は6時間以上の睡眠時間が必要で、不足した状態が慢性化すると心身に悪影響が出てきます。
適切な睡眠時間は人それぞれですが、起きた時に疲労感があったり、日中の活動に支障をきたすような強い眠気を感じたりするようであれば、睡眠時間が足りていません。たとえ7時間以上寝ていても、睡眠の質が低ければ眠りによる健康や癒しの効果は得られないでしょう
まずは自分の睡眠時間や睡眠の質を見直して、より良い眠りの時間を確保してくださいね。