最終更新日:2024.1.10
睡眠時間の大切さや、眠りが身体や心に与える影響についての研究が進み、その重要性が見直されています。
眠りに関する情報を検索した時に、まず出てくるのが「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という言葉ではないでしょうか。しかし、レム睡眠とノンレム睡眠の違いについては知らないという人も多いのでは?
今回は睡眠アドバイザーとしての立場から、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の違いやそれぞれの特徴、理想的な割合などについて分かりやすく解説していきます。
この記事の執筆者
グリーンハウス株式会社
睡眠栄養指導士
小田 健史
健康食品業界で数々の商品開発や販促に12年以上携わる。
睡眠不足に悩まされ続けた自身の不眠体験から、一念発起して「睡眠栄養指導士」の資格を取得し、自らの知識と経験を基に機能性表示食品に登録された睡眠向上サプリ「睡眠体験」を開発。
現在、睡眠栄養指導士として多くの悩める方々へ睡眠の改善に関する情報を発信中!
<資格>
・一般社団法人 睡眠栄養指導士協会
睡眠栄養指導士® 中級
パーソナル睡眠アドバイザー®
・特定非営利活動法人 日本成人病予防協会
健康管理士 一般指導員
目次
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」は、簡単にいうと睡眠状態のことです。
一般的にレム睡眠は「浅い眠り」、ノンレム睡眠は「深い眠り」と表現されますが、実はノンレム睡眠の中でも時間帯によって眠りの深さが異なります。
睡眠中は、レム睡眠とノンレム睡眠が規則的に交互に訪れ、明け方に近付くにつれて浅いノンレム睡眠の割合が増えていきます。そして、起床時間に間際になるとレム睡眠が増えて目が覚めるのです。
それでは、レム睡眠とノンレム睡眠の特徴について詳しく解説していきます。
レム睡眠の「レム」とは、英語で「眼球が素早く動く」(Rapid Eye Movement)という意味で、レム睡眠時には眼球運動が活発であることから名付けられました。
レム睡眠では、身体の緊張がとけてリラックスした状態となり、日中の疲労回復が行われます。しかし、脳は働いて記憶の整理や定着を行います。この間、身体は休息状態であっても脳は覚醒しているため、「金縛り」と呼ばれる体験をする人が少なくありません。
ちなみに、夢を見るのはレム睡眠の時がほとんど。また、レム睡眠のタイミングで目覚めるとスッキリとした気分で起床できると言われています。
ノンレム睡眠は、脳を休ませる深い睡眠状態です。ノンレム睡眠時には成長ホルモンが分泌されたり、免疫力の増強が行われたりします。
ノンレム睡眠は眠りの深さによって4つの段階に分けられ、浅い方からステージ1、最も深い眠りがステージ4です。しかし、最近は3段階に分けられることもあり、その場合は浅いノンレム睡眠を「N1」「N2」、深いノンレム睡眠を「N3」と表します。
ステージ4、またはN3の睡眠状態は「徐波睡眠」「深睡眠」と呼ばれ、眠ってから最初に訪れる睡眠状態です。ステージ4(N3)の睡眠状態は、目覚めに近付くに従って割合が減っていきます。
ノンレム睡眠ステージ4(N3)の徐波睡眠には加齢とともに減少するという特徴があり、高齢者の睡眠障害を悪化させる要因の一つとなっています。
レム睡眠 | ノンレム睡眠 | |
---|---|---|
眠り | 浅い | 深い |
脳の状態 | 働いている | 休んでいる |
夢 | 複雑な夢をよく見る。目覚めても夢の内容を覚えていることが多い | あまり見ない、または見ても単純な内容。目覚めると忘れてしまう |
体の状態 | 休んでいる | 少し緊張している |
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入眠して最初に訪れるのが、ノンレム睡眠の中でも最も深い眠りの状態である「ステージ4(N3、深睡眠)」です。眠りについてからの約90分間に訪れるこのノンレム睡眠の時間は「眠りのゴールデンタイム」とも呼ばれ、この間にステージ4(N3)の眠りをどれだけ得られるかによってその夜の睡眠全体の質が左右されるほど、重要な時間です。
しかし、寝つきが悪いなどの理由でノンレム睡眠ステージ4(N3、深睡眠)まで深く眠れなかった場合は、眠り全体が浅くなって中途覚醒が増えたり、熟眠感が得られなかったりして、睡眠の質が低下。眠りによる疲労回復や免疫力アップの効果を得られなくなります。
深い睡眠状態であるノンレム睡眠のステージ4(N3、深睡眠)が多ければ多いほど睡眠の質が高くなると思われがちですが、そういう訳ではありません。良質な眠りに必要なのは、ノンレム睡眠とレム睡眠が交替するサイクルの規則性と必要十分な睡眠量なのです。
ノンレム睡眠とレム睡眠は規則的に交替しながら、目覚めの時間に近付くとともに浅い睡眠の割合が増えて覚醒へと至ります。
ノンレム睡眠とレム睡眠の睡眠周期は、約90分~120分。一晩の間に、この睡眠サイクルが3~5回程度繰り返されます。睡眠時間全体でノンレム睡眠が占める割合は約75%、レム睡眠は25%程度です。
つまり、ノンレム睡眠:レム睡眠の割合が3:1程度になるのが、理想的な睡眠の割合と言えそうです。睡眠が乱れている人は、十分なノンレム睡眠(睡眠の深さ)が確保できないことで、睡眠の割合3:1程度が崩れることが一因とも考えられます。
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厚生労働省が公表した「質の良い睡眠の評価指標」では、以下のような眠りの状態を『質の良い睡眠』として示しています。
質の良い睡眠の評価指標(要約)
上記の中で注目すべきは、睡眠サイクルの規則性と睡眠量について記された②~④。質の良い睡眠を得るためには、ノンレム睡眠とレム睡眠が訪れるサイクルの規則性と、必要な睡眠量の確保が大事だということが分かりますね。
今回は、ノンレム睡眠とレム睡眠の特徴と、睡眠サイクルについてお伝えしました。
質が高い睡眠を得るためには、「眠りのゴールデンタイム」にノンレム睡眠ステージ4(N3、深睡眠)の段階まで深く眠ることが重要です。規則的な睡眠サイクルで、ぐっすり眠りましょう!
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